AUTHENTIC RECIPE
Pere al Vino Rossoペーレ・アル・ヴィーノ・ロッソ(洋梨の赤ワイン煮)
硬めの洋梨を丸ごと、フルボディの赤ワインと香辛料でごく弱火のポーシェにかけ、芯まで赤紫に染め上げるピエモンテの古典的なドルチェ。煮汁を沸騰させずに保ち、串がすっと通る一歩手前で火から下ろし、煮汁に浸けたまま室温と冷蔵庫で計5時間(前日仕込みなら一晩)休ませて染みを進めるのが要で、仕上げに煮汁だけをナップ状のシロップまで煮詰めて洋梨にかけ直す。果実の繊維を崩さずに色と香りだけを通す温度管理が、この単純な一皿の出来を決める。
本場北イタリアで受け継がれてきた作り方を基準にした本格レシピを、仕上がりを左右する判断点まで省略せずに紹介します。
AUTHENTICITY SCORE
本格度スコア
標準レシピの食材と手順です。代替食材を選ぶと、味・食感・工程への影響とともにスコアが変わります。
材料(2人分)
- 洋梨(ラ・フランスなど、硬めで完熟前のもの)2個1個200〜230gのもの。軸を残して皮をむき、底を薄く切り落として自立させる
- 赤ワイン(フルボディの辛口)600ml洋梨が8割方浸かる量。タンニンのしっかりしたものを選ぶ
- グラニュー糖120g煮汁の濃度と艶を作る
- シナモンスティック1本半分に折って煮汁に入れる
- クローブ(ホール)3粒入れすぎると薬臭くなるため粒数を守る
- レモンの皮1片国産・ノーワックス。幅2cm×長さ5cmを白いワタを付けずにむく
- 黒胡椒(粒)4粒軽く潰して煮汁に加える
- レモン果汁15mlむいた洋梨の表面に塗って変色を止める。量が少ないと塗り残しから褐変する
- 生クリーム(乳脂肪40%以上・砂糖を加えず八分立て)100ml皿に添える。砂糖は加えず、氷水に当てて八分立てにする
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買い物リストをつくる作り方
洋梨を軸付きのまま整形し、変色を止める
- 1 洋梨2個(1個200〜230g)を冷水で洗い、軸を折らないよう手で支えながらペティナイフまたはピーラーで軸の付け根から底に向かって縦方向に皮をむく。
- 2 むいた洋梨の底を包丁で5mmほど水平に薄く切り落とし、皿の上で自立するようにする。
- 3 国産・ノーワックスのレモンから幅2cm×長さ5cmのレモンの皮を、白いワタが付かないよう表皮だけ1片むく。
- 4 レモン果汁15mlを小皿に取り、刷毛または指で洋梨の表面全体と底の切り口に塗る。
- 5 黒胡椒4粒を包丁の腹で軽く押して皮にひびを入れ、シナモンスティック1本を手で半分に折る。
完了の目安
洋梨2個の皮が均一にむけ、軸が付いたまま平らな底で自立し、表面が白いままであれば次へ進む。
注意点
軸は折れやすいので、持ち手にしない。
香辛料入りの赤ワイン煮汁を立ち上げる
- 1 洋梨2個が横倒しでちょうど収まる深めの厚手鍋(直径18〜20cm)に、フルボディの辛口赤ワイン600mlとグラニュー糖120gを入れる。
- 2 半分に折ったシナモンスティック、クローブ3粒、潰した黒胡椒4粒、レモンの皮1片を鍋に加える。
- 3 中火にかけ、木べらで底から混ぜて砂糖を溶かし、鍋肌に細かい泡が立ち始めたところで弱火に落とす。
- 4 弱火のまま5分間そのまま加熱し、アルコール臭を飛ばす。
完了の目安
砂糖の粒が完全に消え、湯気からツンとしたアルコール臭が抜けてワインと香辛料の甘い香りに変われば次へ進む。
沸騰させずにごく弱火で洋梨を染め上げる
- 1 煮汁の鍋に洋梨2個を横倒しにして静かに沈め、軸が鍋のふちに当たらないよう向きを整える。
- 2 洋梨がワインから出ている面にスプーンで煮汁を数回かけ、オーブンシートを鍋の内径に合わせて丸く切り中央に直径1cmの穴を開けた落とし蓋を、洋梨の上に直接のせる。
- 3 ごく弱火にし、煮汁の表面がときおり小さく揺れる程度(85〜90℃、沸騰させない)を保って40分ポーシェ(煮汁に沈めて静かに火を通す加熱法)する。
- 4 煮汁の縁から糸のような泡の列が立ち上がり始めたら、そのつど火をさらに弱めるか鍋を火から5秒ほど外して温度を戻す。
- 5 15分ごとに菜箸とスプーンで洋梨を静かに転がし、上下の面を入れ替えて色を均一に入れる。
完了の目安
洋梨の表面全体がワインから出ていた面まで濃い赤紫に染まり、色ムラが見えなければ火から下ろす頃合い。
竹串を胴の最も厚い部分に刺したとき、わずかな抵抗を残しつつ中心まで入り、抜いた竹串の先端側3分の1ほどが赤紫に染まっていれば次へ進む。
注意点
熟した洋梨ほど崩れやすい。時間より串の抵抗を目安にする。
煮汁に浸けたまま冷まして芯まで色を入れる
- 1 落とし蓋をのせたまま鍋を火から下ろし、そのまま室温で2時間かけて完全に冷ます。
- 2 粗熱が取れたら鍋ごと冷蔵庫に入れ、さらに3時間以上浸漬する。
完了の目安
洋梨全体が艶のある濃い赤紫になり、ワインから出ていた面にも薄い部分が残っていなければ次へ進む。
竹串を胴の中心まで刺して抜いたとき、串が根元近くまで赤紫に染まっていれば色が芯まで入った合図。
鍋の中で洋梨の胴を指で軽く押したとき、形が崩れずに弾力が返ってくる状態が理想。
煮汁をナップ(木べらを覆う濃度)のシロップまで煮詰める
- 1 並行(煮詰めている間に)生クリーム100mlを氷水に当てたボウルに入れ、砂糖を加えずに泡立て器で3〜4分、角がゆるく立つ八分立てに泡立て、盛り付け直前まで冷蔵庫で冷やしておく。
- 2 洋梨2個を煮汁からスプーンと菜箸で静かに引き上げ、バットに軸を上にして立てて置く。
- 3 鍋に残った煮汁(約550〜600ml)を目の細かい漉し器で漉し、シナモン・クローブ・黒胡椒・レモンの皮を取り除いてから同じ直径18〜20cmの鍋に戻す。
- 4 中火にかけ、表面に浮く泡をスプーンで2〜3回すくい取りながら30〜45分煮詰めて、約150mlまで減らし、ナップ(木べらの背を覆って流れ落ちない濃度)にする。
- 5 ナップの濃度になったら火から下ろす。
完了の目安
煮汁が元の4分の1ほど、約150mlまで減っていれば煮詰め終わりの目安。
木べらをシロップにくぐらせて指でなぞったとき、跡が数秒消えずに残るナップの濃度になれば煮詰め終わり。
鍋を傾けたときにシロップがとろりと流れ、糸を引かない状態なら煮詰め終わり。
注意点
シロップは冷めると濃くなるため、熱いうちに詰めすぎない。
洋梨にシロップをかけ直し、パンナを添えて盛る
- 1 鍋のシロップを、冷水を張ったボウルに鍋底を当ててゴムべらでときおり混ぜながら、約40℃(人肌)まで10分ほど冷ます。
- 2 バットの洋梨に刷毛またはスプーンでシロップを全面に3〜4回かけ直して艶を出す。
- 3 平皿2枚の中央にそれぞれ洋梨1個を軸を立てて据える。
- 4 残ったシロップを洋梨の胴に上からゆっくり回しかけ、皿の底に薄くたまるよう均す。
- 5 洋梨の脇に、冷やしておいた八分立ての生クリーム(パンナ)を2等分し、スプーン2本でクネル形に整えて1皿に1つずつ置く。
完了の目安
洋梨の表面が濡れたように光り、皿底のシロップが流れ広がらずに留まっていれば完成。
作り方を読み終えたら。
その一皿を、コースにする。
作りたい料理を選ぶと、Tabelia アプリが献立の買い物リストと当日の段取りをひとつに束ねます。調理中の疑問には、Chef Authen が具体的な判断基準で答えます。
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INGREDIENT OPTIONS
手に入る食材で、本格の輪郭を保つ
ペーレ・アル・ヴィーノ・ロッソ(洋梨の赤ワイン煮)は、次の食材でも作れます。味や食感、手順への影響を確認して選んでください。
洋梨(ラ・フランスなど、硬めで完熟前のもの)の代わりに
紅玉りんご
代わりに使える食材 · 本格度 -20点
酸味が立ち、繊維が粗くなって洋梨特有のなめらかな口当たりが失われる。
軸が短く折れやすいため、皮は軸の付け根を避けて上から下へむき、軸は付け根ごと残す。軸を持って持ち上げない。
底の切り落としは3mmにとどめ、芯抜き器を底側から差し込んで種房だけを深さ5cmほどくり抜く(軸まで貫通させない)。くり抜いた穴の内側にもレモン果汁を塗る。
くり抜きで底が不安定になるので、鍋に入れる前にまな板の上で立ててぐらつきを確認し、必要なら底をもう1mm水平に削って自立させる。
煮崩れやすいため、ごく弱火でのポーシェ時間を25〜30分に短縮し、竹串が抵抗なく入る手前で火を止める。
洋梨(ラ・フランスなど、硬めで完熟前のもの)の代わりに
和梨(幸水・豊水など)
代わりに使える食材 · 本格度 -35点
シャリっとした食感が残り水分が多いため、シロップが薄まり香りの染み込みも浅くなる。
水分が出る分、赤ワインを500mlに減らし、砂糖を140gに増やして煮汁の濃度を確保する。
ポーシェは35分に短縮する。
赤ワイン(フルボディの辛口)の代わりに
ミディアムボディの赤ワイン(メルロー主体)
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
渋みが穏やかで甘さが前に出るが、色の入りはやや浅くなる。
赤ワイン(フルボディの辛口)の代わりに
ノンアルコール赤ワイン
代わりに使える食材 · 本格度 -20点
アルコール由来の骨格が抜けて輪郭がぼやけ、甘さが単調になる。
もともと甘味が強いため砂糖を80gに減らす。
香りが弱いのでレモンの皮を2片に増やす。
アルコールを飛ばす必要がないため、弱火5分の加熱は行わない。砂糖の粒が完全に溶けて香辛料の香りが立った時点で火を弱め、そのまま洋梨を入れる工程へ進む。
グラニュー糖の代わりに
きび砂糖
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
糖蜜の風味が加わり、シロップの色と味がやや重くなる。
グラニュー糖の代わりに
はちみつ
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
花の香りが前に出て、ワインの香辛料の印象が弱まる。
焦げやすいため、煮汁を煮詰める工程は弱めの中火で行い、約150mlに減ってとろみが付き始めたらすぐ火から外す。
シナモンスティックの代わりに
シナモンパウダー
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
香りが強く出る代わりに、煮汁が濁って舌にざらつきが残る。
小さじ1/2を煮汁に加え、煮詰めたシロップは目の細かい茶漉しで漉してから洋梨にかける。
クローブ(ホール)の代わりに
八角
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
甘く東洋的な香りに変わり、ピエモンテらしい素朴さが薄れる。
クローブの代わりに八角1個を煮汁に加える。
香りが強いため、ポーシェを終えて火を止めた直後に菜箸で八角だけを取り出してから、浸漬に入る。
レモンの皮の代わりに
オレンジの皮
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
酸の切れが弱まり、甘く丸い柑橘香になる。
黒胡椒(粒)の代わりに
ピンクペッパー(粒)
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
刺激が弱く華やかな香りになり、赤ワインの渋みを引き締める力が落ちる。
生クリーム(乳脂肪40%以上・砂糖を加えず八分立て)の代わりに
マスカルポーネ
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
コクと乳の甘みが強く出て、赤ワインの渋みが穏やかに感じられる。
生クリームの泡立ては行わず、マスカルポーネ80gを冷蔵庫から出して室温に5分置き、スプーンでなめらかになるまで練ってから盛り付け直前まで冷蔵庫で冷やす。
盛り付けでは練ったマスカルポーネ80gを2等分し、スプーン2本でクネル形に整えて1皿に1つずつ置く。
この料理について
ワインの産地として知られるピエモンテ州では、秋に収穫した洋梨を赤ワインで煮る菓子が、家庭の定番として作られてきました。煮汁には、バルベーラやドルチェットといった土地の赤ワインが使われることが多くあります。
伝統的に使われるのは、マルタン・セックと呼ばれる古い品種です。小ぶりで皮の表面がざらつき、生では硬く食べにくい一方、煮ると形を保ったまま赤く色づきます。晩秋に収穫され、冬まで貯蔵がきくため、寒い季節のデザートとして重宝されてきました。
現在もピエモンテのトラットリアでは、秋から冬の食後の一皿として品書きに並びます。前日から煮汁に浸けておけることから、来客のある日の食後にも供されています。
QUESTIONS
よくある質問
ペーレ・アル・ヴィーノ・ロッソ(洋梨の赤ワイン煮)に和梨(幸水・豊水など)を使ってもいいですか?
作れますが、洋梨(ラ・フランスなど、硬めで完熟前のもの)を和梨(幸水・豊水など)に替えると本格度が35点下がります。シャリっとした食感が残り水分が多いため、シロップが薄まり香りの染み込みも浅くなる。水分が出る分、赤ワインを500mlに減らし、砂糖を140gに増やして煮汁の濃度を確保する。
ペーレ・アル・ヴィーノ・ロッソ(洋梨の赤ワイン煮)に紅玉りんごを使ってもいいですか?
作れますが、洋梨(ラ・フランスなど、硬めで完熟前のもの)を紅玉りんごに替えると本格度が20点下がります。酸味が立ち、繊維が粗くなって洋梨特有のなめらかな口当たりが失われる。軸が短く折れやすいため、皮は軸の付け根を避けて上から下へむき、軸は付け根ごと残す。軸を持って持ち上げない。
ペーレ・アル・ヴィーノ・ロッソ(洋梨の赤ワイン煮)にノンアルコール赤ワインを使ってもいいですか?
作れますが、赤ワイン(フルボディの辛口)をノンアルコール赤ワインに替えると本格度が20点下がります。アルコール由来の骨格が抜けて輪郭がぼやけ、甘さが単調になる。もともと甘味が強いため砂糖を80gに減らす。
ペーレ・アル・ヴィーノ・ロッソ(洋梨の赤ワイン煮)を失敗せずに作るコツはありますか?
つまずきやすいのは次の点です。軸は折れやすいので、持ち手にしない。熟した洋梨ほど崩れやすい。時間より串の抵抗を目安にする。シロップは冷めると濃くなるため、熱いうちに詰めすぎない。
ペーレ・アル・ヴィーノ・ロッソ(洋梨の赤ワイン煮)を作るのにどれくらい時間がかかりますか?
2人分で合計7時間3分です(準備15分・調理1時間48分・待ち時間5時間)。待ち時間は手を離せるため、他の料理と並行して進められます。
ペーレ・アル・ヴィーノ・ロッソ(洋梨の赤ワイン煮)は家庭で作るのが難しいですか?
難易度は5段階中2で、イタリア料理のなかでは作りやすい部類です。全6工程のうち仕上がりを左右するのは「洋梨を軸付きのまま整形し、変色を止める」「沸騰させずにごく弱火で洋梨を染め上げる」で、各工程に見極めの目安と注意点を明記しています。
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