基礎知識 · 1/7 · イタリア料理
飲む・炊く・煮込む、ブロードの三つの使い道
イタリアの台所では、ブロードをスープとして飲むほか、リゾットの米を炊いたり、オッソブーコの肉を煮込んだりするのに使います。タベリアのレシピは、使い道に合わせてブロードへの塩の入れ方を変えています。
レシピに「ブロード」とあったら、どう用意すればよいのか

レシピの材料欄のブロード
リゾット・アッラ・ミラネーゼの材料の欄には「牛骨ブロード 1200ml」、オッソブーコには「肉のブロード 500ml」とあり、どちらも材料名と分量だけで、ブロードのとり方は書いてありません。牛・鶏・野菜・魚のブロードのとり方は、このシリーズの第3回から第6回で一つずつ扱います。
顆粒のスープの素は湯に溶かすだけですが、ブロードは肉や野菜を水から煮て、そのうまみを引き出しただしです。固形スープの素やエキスで作ったものを、イタリア語辞典のトレッカーニは「ブロード・フィント(にせのブロード)」と呼び、煮出したブロードと区別しています。
フランス料理のフォン(イタリア語ではフォンド)もブロードに近いものです。料理誌『イル・クッキアイオ・ダルジェント』のウェブサイトは、フォンドを煮込みやソースのベースに使うもので、ブロードより味が控えめでゼラチン質が多いと説明しています。
飲む、炊く、煮込む
スープとして飲む料理の代表がトルテッリーニ・イン・ブロードで、約2kgのカッポーネ(去勢した雄鶏)を丸ごと1羽使ってとったブロードに、詰め物をした小さなパスタを浮かべます。チーズはかけず、黄金色に澄んだブロードそのものを味わいます。

リゾットでは、米がブロードを吸って炊き上がります。リゾット・アッラ・ミラネーゼでは、温かいブロードをお玉1杯ずつ注ぎます。イタリアの家庭料理書の古典を書いたペッレグリーノ・アルトゥージは、このリゾットは湯で炊くよりブロードで炊くほうが滋味豊かでおいしくなると書いています。

オッソブーコでは、ブロードが煮込みの汁になります。焼き色を付けた仔牛のすね肉を、香味野菜を炒めた鍋に戻し、肉のブロード500mlで1時間40分煮込みます。
使い道ごとの塩の入れ方
塩をいつ、どこに入れるかは、レシピの手順を見ると分かります。カネーデルリ・イン・ブロードは、南チロルのパン団子を澄んだ牛肉のブロードに浮かべたスープです。漉して脂をすくい取ったブロードを量って1800mlに整えてから粗塩12gを溶かすと、そのまま飲んで塩気がはっきり分かる濃さになります。
ブロードを漉してから塩を入れるのは、3時間煮るあいだにブロードが煮詰まって、先に入れた塩の味が濃くなるからです。
かぼちゃのリゾット(リゾット・アッラ・ズッカ)では、野菜のブロードに塩を入れず、85℃前後に温めておきます。塩は、先にかぼちゃを焼くフライパンで2g、リゾットの鍋で玉ねぎを炒めるときに1gと加えていき、最後にパルミジャーノを混ぜ込んでから味を見て、残りの2gを上限に加えて調えます。ブロードを無塩にしておくのは、塩味を最後にリゾットの鍋で調えるためです。
肉を煮込むオッソブーコでは、塩は焼く前の仔牛のすね肉に振り、手順の中でブロードに塩を加えることはありません。肉のブロードの代わりにタベリアが挙げているのは、無塩のチキンブロードです。
材料欄でブロードを見たら
その料理でブロードを飲むのか、米を炊くのに使うのか、肉を煮込むのに使うのかを、まず手順で確かめてください。カネーデルリのように飲むなら、漉したあとに量って塩を溶かします。リゾット・アッラ・ズッカのように米を炊くなら、塩を入れずに温めておき、塩は最後にリゾットの鍋で調えます。オッソブーコのように煮込むなら、塩は肉に振り、ブロードには加えずに煮込みます。
出典
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