基礎知識 · 6/7 · イタリア料理
魚のブロードを25分で漉す理由
魚のアラで引くフュメットは、長く煮ればよいとは限りません。イカスミのリゾットのレシピでは、白身魚の香りを損なわないよう短く煮て漉し、墨を溶くにも米を炊くにも使います。
魚のブロードは、なぜ肉のブロードより短く煮るのか

アラから引く魚のブロード
鯛のアラで潮汁を作るように、魚の頭や中骨からもだしが取れます。イタリアでは魚のブロードをフュメットとも呼び、イカスミのリゾットのレシピでは、白身魚の頭と中骨800gでフュメットを引いて米を炊きます。アルトゥージの料理書にも、魚を茹でた煮汁で米を炊くリゾットが載っています。

アラの下ごしらえ
白身魚のアラ800gのえらと血合いを、指と包丁の先で取り除き、ボウルの冷水に15分さらします。さらし水に血の色が出ず、アラに赤黒い部分が残っていなければ、流水で洗って水を切ります。
厚手の鍋にアラを入れ、ざく切りの白玉ねぎ80g、にんじん60g、セロリ60g、束ねたイタリアンパセリの茎5g、黒胡椒5粒を加えて、冷水2400mlを注ぎ、中火にかけます。料理誌『イル・クッキアイオ・ダルジェント』のフュメットも、スズキやメルルーサ、ヒメジの頭と中骨を冷水から煮ます。
タベリアの評価では、アラを海老の頭と殻に替えると本格度が10点下がり、市販の無添加フィッシュブイヨンに替えると、香りの重なりが減り、塩味が強く単調になり、20点下がります。

25分で漉す
沸騰する直前に火を弱め、表面に浮くアクと泡をすくいます。液面が細かく震える85〜90℃を保ち、蓋をせずに25分煮出します。レシピの注意書きは、25分を超えて煮出すと骨の苦味とえぐみが溶け出し、ぐらぐら沸騰させると白濁して魚臭さと苦味が出るとしています。
この25分は、フランス料理の本を書いたエスコフィエが1907年の英語版で白身魚のストックに充てた20分に近く、エスコフィエは、20分煮れば骨の香りとゼラチン質を引き出すのに十分で、それより長く煮るとかえって風味を損なうと書いています。一方で、クッキアイオのフュメットは少なくとも60〜90分煮るレシピです。魚のだしすべてに25分を超えると苦味が出るとは言えませんが、このレシピでは短く煮る作り方に合わせ、25分で漉して香りを確かめます。
アラを押し潰さずに漉す
25分たったら火を止め、目の細かいざるにペーパータオルを敷いて、別の鍋に静かに漉します。アラは押し潰さず、自然に落ちる液体だけを使います。
漉した液体を量り、1800mlに足りなければ湯を足して、弱火で80℃前後に保ちます。透明感のある淡い琥珀色で、生臭さがなければ仕上がりです。
墨を溶き、イカを煮て、米を炊く
フュメット1800mlは3か所に分けて使い、50mlで墨を溶きのばし、250mlでイカを煮込み、1350mlで米を炊いて、残りは予備にします。フュメットには塩を入れず、塩13gはイカの煮込みに4g、米を炊いている途中に4g、仕上げに5gと、リゾットの鍋の側で加えます。
米を炒めている間に、隣のコンロのフュメットが80℃前後に保たれているかを確かめ、炒めた米に注いで炊いていきます。
出典
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