AUTHENTIC RECIPE
Mont-Blancモンブラン
焼き締めたメレンゲ・フランセーズの土台に、渋皮まで手で剥いた栗を下茹でしてからシロップで炊き、裏ごしして起こす自家製パート・ド・マロンを細い麺状に絞り、角が立つまで泡立てたクレーム・シャンティイを雪山に見立てて覆うパリの古典菓子。市販の栗ペーストを使わず、栗の下処理・下煮・シロップ煮・裏ごし・バターと洋酒での乳化までを自力で行うため、香りの密度と口溶けが決定的に変わる。低温で長時間乾かすメレンゲ、絞り出しやすい硬度に調整した栗生地、円錐が自立する硬さまで立てたシャンティイという、三つの異なる質感を同じ皿の上で成立させるのが要。仕上げは粉糖を雪のように振るだけで、余計な飾りは載せない。
本場パリと中央部で受け継がれてきた作り方を基準にした本格レシピを、仕上がりを左右する判断点まで省略せずに紹介します。
AUTHENTICITY SCORE
本格度スコア
標準レシピの食材と手順です。代替食材を選ぶと、味・食感・工程への影響とともにスコアが変わります。
材料(2人分)
- 生栗200g鬼皮に浅く十字の切り込みを入れ、熱湯で茹でてから鬼皮と渋皮を剥く。歩留まり約70%で正味約140gになる
- グラニュー糖(栗のシロップ用)70g水70mlと同量で合わせてシロップにし、下茹でした栗を煮含める
- 水(シロップ用)70mlグラニュー糖と同量で立てるシロップの液体
- 水(栗の皮むき用)1000ml沸かして生栗を20分浸し、同じ湯で5分茹でてから鬼皮と渋皮を剥く
- 水(栗の下茹で用)600ml剥いた栗がしっかりかぶる量。弱火で30分下煮する
- バニラビーンズ1本縦に割いて種をこぎ出す。莢と種の半量はシロップに、残り半量の種はシャンティイに使う
- 無塩バター15g室温に戻してポマード状にし、栗生地に練り込んで絞り出せる硬度と口溶けを作る
- 牛乳25ml栗生地の硬さ調整用。小さじ1ずつ加える
- ダークラム10ml栗生地の仕上げに加える
- 卵白60g卵2個分。冷蔵庫から出して室温に戻す
- 細目グラニュー糖(メレンゲ用)60g卵白と同量。泡立て途中で3回に分けて加える
- 粉糖(メレンゲ用)60gふるってから、泡立てた卵白にゴムベラで切り混ぜる
- レモン汁3ml卵白の泡を安定させるため、泡立て始めに加える
- 生クリーム(乳脂肪35%)200mlよく冷やす。ボウルと泡立て器も冷やしておく
- 粉糖(シャンティイ用)20g泡立て始めにふるい入れる
- 塩1gメレンゲに0.3g、栗生地に0.7gを分けて使う
- 粉糖(仕上げ用)5g茶漉しで雪のように振る
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買い物リストをつくる作り方
メレンゲ・フランセーズを立てて直径8cmの円盤2枚に絞る
- 1 並行(オーブンを予熱している間に)栗の皮むき用に、鍋に水1Lを入れて蓋をし、強火にかけて沸かし始める。沸いたら火を止め、蓋をしたまま置いておく。
- 2 オーブンを100℃に予熱し、天板にオーブンシートを敷く。直径8cmの円を2つ、鉛筆でシートの裏面に描いておく。
- 3 油分・水分を完全に拭き取ったボウルに室温の卵白60gとレモン汁3ml、塩0.3gを入れ、ハンドミキサー低速で1分ほぐし、細かい泡が全体に立ったら中速に上げる。
- 4 泡が白く濁って筋が残り始めたところで細目グラニュー糖60gの1/3を加え、30秒泡立てる。同じ要領で残りを2回に分けて加え、高速で合計5〜6分泡立てる。
- 5 粉糖60gをふるい入れ、ゴムベラで底からすくい上げるように20〜25回切り混ぜる。
- 6 直径10mmの丸口金をつけた絞り袋にメレンゲを詰め、描いた円に沿って中心から渦巻き状に2枚の円盤を絞る。
- 7 残ったメレンゲを天板の空きに直径3cmほどの小さな山として絞り出す。
完了の目安
泡立て終わりのメレンゲは、泡立て器を持ち上げると先端がまっすぐ立ち、ボウルを傾けても流れない状態。
絞り終えた円盤の表面に大きな気泡の穴がなく、厚みが均一であれば焼成に移せる。
注意点
ボウルや泡立て器に油分・卵黄が残ると、卵白が泡立ちにくい。
メレンゲを焼成に入れ、その間に生栗を剥いて正味140gを取り出す
- 1 並行(栗を剥いている間に)30分ごとにオーブンの扉を開けずに庫内を覗き、メレンゲに色づきがないか確認する。
- 2 天板を100℃のオーブンの中段に入れ、タイマーを90分にセットして焼き始める。
- 3 生栗200gを耐熱ボウルに入れ、沸かしておいた湯を栗がかぶるまで注いで20分浸す。鍋に残った湯は弱火にかけて保温しておく。
- 4 栗の座(底の平らな部分)から頭に向けて、鬼皮に浅く十字の切り込みをペティナイフで入れる。
- 5 保温しておいた鍋の湯を強火で煮立て、切り込みを入れた栗を入れて5分茹でる。
- 6 湯から3〜4個ずつ取り出し、熱いうちに切り込みから鬼皮を剥き、続いてナイフの刃先で渋皮を削ぎ取る。残りは湯に戻して温度を保つ。
- 7 剥いた実は水を張ったボウルに入れ、全量剥き終えたら水気を切って重さを量り、正味140gを用意する。
完了の目安
渋皮の筋や窪みの皮まで残らず除かれ、黄色い実だけの状態で正味約140g(生栗の約70%)が揃えば次へ進む。
この時点でメレンゲは白いまま乾きつつあり、焼成開始から約40分が経過している。
栗を水で30分下煮して裏ごしできる柔らかさにする
- 1 並行(下煮の30分の間に)無塩バター15gを室温に出し、指で押すとすっと凹むポマード状にやわらげる。
- 2 並行(同じ30分の間に)オーブンの焼成開始から何分経過したかを確認し、メレンゲが白いままか庫内を覗いて確かめる。
- 3 鍋に剥いた栗140gと水600mlを入れ、中火にかける。
- 4 沸いたら弱火に落とし、表面が微かに揺れる火加減で30分、蓋をずらして載せて煮る。
- 5 浮いてきたアクをお玉で2〜3回すくい取る。
完了の目安
竹串を栗の中心に刺して抵抗なくすっと通れば下煮完了。
実の角がわずかに丸くなり、指で強く押すと割れる柔らかさになっていればよい。
バニラのシロップで煮含めてマロン・キュイ・オ・シロにする
- 1 並行(栗を煮含めている間に)メレンゲの焼成開始から90分経ったらオーブンの電源を切り、扉を開けずに天板を庫内に残したまま余熱での乾燥に入る。
- 2 バニラビーンズ1本を縦に割き、ナイフの背で種をこぎ出す。種の半量は小皿に取り分けてラップをかけ、冷蔵庫に入れておく(シャンティイ用)。
- 3 別の鍋にグラニュー糖70gと水70ml、バニラの種の残り半量と莢を入れ、中火にかけて木べらで混ぜながら砂糖を完全に溶かす。
- 4 シロップが沸いたら弱火に落とし、下煮した栗140gを穴あきお玉で湯から引き上げ、重ならないように静かに入れる。
- 5 鍋の口径に合わせて切ったクッキングシートを水面に載せ(落とし蓋)、弱火で15分、表面がごく静かに揺れる火加減で煮含めてから火を止める。
完了の目安
栗の表面に艶が出て、竹串が抵抗なく通り、軽く押すと潰れるほど柔らかくなっていれば煮含め完了。
オーブンを切る時点で、メレンゲの表面が白いまま乾いていれば焼成は成功している。
栗をシロップに漬けたまま常温で30分置いて味を含ませる
- 1 並行(栗を冷ましている30分の間に)メレンゲは天板ごとオーブンの庫内に入れたまま、扉を閉めて余熱で乾かし続ける。
- 2 並行(同じ30分の間に)シャンティイ用のボウル・泡立て器と、絞り袋2枚を冷蔵庫で冷やす。
- 3 鍋を火から外し、落とし蓋のシートを載せたまま常温に30分置く。
完了の目安
栗が40℃前後(手で触れられる温度)まで下がり、シロップを吸って実の色が濃く艶やかになっていれば裏ごしに進める。
栗を裏ごししてパート・ド・マロンを起こす
- 1 並行(栗を裏ごしし、生地を休ませている間に)オーブンの電源を切ってから60分経ったら天板を取り出し、メレンゲの円盤を網に移して室温になるまで冷ます。
- 2 並行(同じ時間に)作業台を片付け、組み立て用の平らなデザート皿2枚を用意する。
- 3 栗を穴あきお玉でシロップから引き上げ、バニラの莢を取り除く。シロップは鍋に残しておく。
- 4 栗を目の細かいざる(またはドラムふるい)に3〜4個ずつ載せ、カードや木べらで押しつけて裏ごしし、ボウルに落とす。
- 5 裏ごしした栗に塩0.7gを加え、ポマード状の無塩バター15gをゴムベラで3回に分けてすり混ぜ、全体が均一になるまで練る。
- 6 牛乳25mlを小さじ1ずつ加えながら練り、生地の硬さを調整する。それでも硬い場合は残したシロップを小さじ1ずつ加えて伸ばす。
- 7 ダークラム10mlを2回に分けて加え、香りが全体に回るまで30秒練り混ぜる。
- 8 生地をラップで包み、冷蔵庫で20分休ませる。
完了の目安
ゴムベラで生地をすくって傾けたとき、ゆっくり落ちずに角を保ち、ベラの跡が残る硬さであればよい。
冷蔵後、指で押して弾力があり、手にべたつかなければ絞り出せる状態。
メレンゲは持ち上げると天板からすっと離れ、味見用の小さなメレンゲを割って中心まで白く乾いていれば使える状態。
注意点
牛乳を加えすぎると、栗のペーストを絞った形が保てない。
クレーム・シャンティイを角が立つまで泡立てる
- 1 冷やしたボウルに冷たい生クリーム200mlを注ぎ、粉糖20gをふるい入れ、取り分けておいたバニラの種を加える。
- 2 ボウルの底を氷水に当て、泡立て器で中速のリズムで2〜3分、空気を含ませるように泡立てる。
- 3 とろみがついたら10秒ごとに泡立て器を持ち上げて状態を確認しながら泡立て、先端の角がまっすぐ立つところで手を止める。
- 4 泡立てたシャンティイの1/3を、冷やしておいた絞り袋(星口金付き)に詰め、残りはボウルごと冷蔵庫に入れる。
完了の目安
泡立て器を持ち上げたとき、先端のクリームが垂れずにまっすぐ角を保っていれば完了。
ボウルを大きく傾けてもクリームが動かない状態。
注意点
泡立てすぎると生クリームが分離する。
三層を組み上げてヴェルミセル・ド・マロンで覆う
- 1 直径15cm前後の平らなデザート皿2枚を用意し、冷めたメレンゲの円盤を1枚ずつ中央に置く。
- 2 メレンゲの上にシャンティイをスプーンで山盛りに載せ、パレットナイフで高さ6〜7cmの円錐形に整える。
- 3 絞り袋のシャンティイで円錐の裾を一周絞り、メレンゲとの継ぎ目を隠す。
- 4 整えた2皿を冷蔵庫に5分入れて山を固める。
- 5 パート・ド・マロン約170gを、直径3mmのモンブラン口金(栗の細麺を絞る多穴口金)をつけた絞り袋に詰める。
- 6 皿を回しながら、冷やした山の裾から頂点へ向かって糸を巻きつけるように絞り、2〜3周重ねて下の白が透けない厚みに覆う。
完了の目安
円錐の側面から裾まで栗の麺が均一に回り、シャンティイの白が見えなくなれば覆い終わり。
粉糖を雪のように振って供する
- 1 茶漉しに粉糖5gを入れ、皿の30cm上から栗の麺の全体に振る。
- 2 仕上げた2皿をそのまま食卓に運ぶ。
完了の目安
栗の麺の稜線に粉糖が白く薄く積もり、頂点まで均一に覆われていれば完成。
作り方を読み終えたら。
その一皿を、コースにする。
作りたい料理を選ぶと、Tabelia アプリが献立の買い物リストと当日の段取りをひとつに束ねます。調理中の疑問には、Chef Authen が具体的な判断基準で答えます。
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INGREDIENT OPTIONS
手に入る食材で、本格の輪郭を保つ
モンブランは、次の食材でも作れます。味や食感、手順への影響を確認して選んでください。
生栗の代わりに
栗の水煮(無糖・むき栗)
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
栗の香りの立ち上がりが弱まり、繊維感のない均一な口当たりになる。
ステップ1では水1Lを沸かす作業を行わない。
ステップ2では鬼皮・渋皮を剥く作業を行わず、メレンゲを焼き始めたら庫内の色づきを確認しながら待つだけにする。
ステップ3の水600mlでの下煮を省く。
ステップ4のシロップに水煮栗140gをそのまま入れ、弱火で10分煮含める。
皮むき用の水1Lは使用しない。
生栗の代わりに
市販のパート・ド・マロン(加糖栗ペースト)
代わりに使える食材 · 本格度 -20点
甘さが単調になり、自家製特有の粗い舌触りと栗の芯の香りが失われる。
ステップ1では水1Lを沸かす作業を行わない。
ステップ2〜5の栗の下処理・下茹で・シロップ煮・味含ませを行わない。
ステップ6でパート・ド・マロン180gをボウルでほぐし、ポマード状の無塩バター15gとダークラム10mlを練り込むところから始める。
シロップ用のグラニュー糖70gと水70ml、下茹で用の水600ml、皮むき用の水1Lは使用しない。
硬さ調整はシロップの代わりに牛乳25mlのみで行う。
バニラビーンズの代わりに
バニラエクストラクト
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
種の粒感と余韻が薄れ、香りがやや平板になる。
ステップ4のシロップにはバニラを加えず、グラニュー糖と水だけで立てる。
ステップ6で裏ごしした栗生地にバニラエクストラクト小さじ1/2を加えて練り込む。
ステップ7でシャンティイを泡立てる前にバニラエクストラクト小さじ1/2を加える。
ダークラムの代わりに
ラム風味シロップ(ノンアルコール)
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
香りの伸びが短く、栗の甘さがやや前に出る。
ステップ6の硬さ調整では甘みが増すため煮汁のシロップは加えず、牛乳25mlだけで伸ばす。
ダークラムの代わりに
コニャック
代わりに使える食材 · 本格度への影響なし
甘い樽香がより乾いたブランデー香に変わる。
レモン汁の代わりに
ホワイトビネガー
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
柑橘の微かな酸味が消え、ごく僅かに酸の匂いが残る。
生クリーム(乳脂肪35%)の代わりに
乳脂肪47%の生クリーム
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
コクが強く重たいシャンティイになり、雪のような軽さが減る。
ステップ7の泡立ては氷水にボウルを当てて低速で行い、とろみがついた時点から5秒ごとに状態を確認して角が立った瞬間に止める。
この料理について
モンブランは、フランスとイタリアの国境にそびえるアルプスの最高峰の名を持つ菓子です。栗のピュレを細く絞って山に見立て、白いクリームを雪に重ねる発想は、山をはさんだイタリア北部で「モンテ・ビアンコ」と呼ばれる菓子にも共通しています。
パリでは、リヴォリ通りのサロン・ド・テ「アンジェリーナ」のモンブランが名物として知られ、20世紀初頭に創業したこの店の看板菓子とされています。メレンゲ、クレーム・シャンティイ、栗のヴェルミセルを重ねる構成は、フランスのモンブランの古典的な形として定着しています。
フランスの栗の収穫は秋で、アルデシュ県などの山間部が主な産地です。冬のパリの街角には焼き栗の屋台が立ち、菓子店にも栗の菓子が増えていきます。現在は通年で作られる菓子ですが、栗の季節を映す一皿であることに変わりはありません。
QUESTIONS
よくある質問
モンブランに市販のパート・ド・マロン(加糖栗ペースト)を使ってもいいですか?
作れますが、生栗を市販のパート・ド・マロン(加糖栗ペースト)に替えると本格度が20点下がります。甘さが単調になり、自家製特有の粗い舌触りと栗の芯の香りが失われる。ステップ1では水1Lを沸かす作業を行わない。
モンブランに栗の水煮(無糖・むき栗)を使ってもいいですか?
使えます。ただし生栗を栗の水煮(無糖・むき栗)に替えると本格度が10点下がります。栗の香りの立ち上がりが弱まり、繊維感のない均一な口当たりになる。ステップ1では水1Lを沸かす作業を行わない。
モンブランに乳脂肪47%の生クリームを使ってもいいですか?
使えます。ただし生クリーム(乳脂肪35%)を乳脂肪47%の生クリームに替えると本格度が5点下がります。コクが強く重たいシャンティイになり、雪のような軽さが減る。ステップ7の泡立ては氷水にボウルを当てて低速で行い、とろみがついた時点から5秒ごとに状態を確認して角が立った瞬間に止める。
モンブランを失敗せずに作るコツはありますか?
つまずきやすいのは次の点です。ボウルや泡立て器に油分・卵黄が残ると、卵白が泡立ちにくい。牛乳を加えすぎると、栗のペーストを絞った形が保てない。泡立てすぎると生クリームが分離する。
モンブランを作るのにどれくらい時間がかかりますか?
2人分で合計3時間40分です(準備2時間45分・調理55分)。
モンブランは家庭で作るのが難しいですか?
難易度は5段階中4で、技術の見極めが要る一皿です。全9工程のうち仕上がりを左右するのは「メレンゲ・フランセーズを立てて直径8cmの円盤2枚に絞る」「栗を裏ごししてパート・ド・マロンを起こす」で、各工程に見極めの目安と注意点を明記しています。
READER REVIEWS
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