AUTHENTIC RECIPE
Pastis Gasconパスティス・ガスコン
透けるほど薄く手で伸ばした生地を幾層にも重ね、アルマニャックを含ませたりんごを包んで焼き上げるガスコーニュ地方の菓子。頂上には薄い生地をくしゃりと立てた「花冠」を飾り、焼くとパリパリの軽い層になる。生地を破らずに紙のように伸ばす作業がこの菓子の核心で、フランス菓子の中でも指折りの手技を要求される一品。
本場バスクと南西部で受け継がれてきた作り方を基準にした本格レシピを、仕上がりを左右する判断点まで省略せずに紹介します。
AUTHENTICITY SCORE
本格度スコア
標準レシピの食材と手順です。代替食材を選ぶと、味・食感・工程への影響とともにスコアが変わります。
材料(4人分)
- 強力粉250g薄く伸ばすためのグルテンが必要。強力粉を使う
- 水(生地用・ぬるま湯)100ml
- 卵(生地用)1個生地の伸びと強度を支える
- サラダ油(生地用)30ml生地をしなやかにして手延ばしに耐えさせる
- 塩(生地用)3g
- りんご(紅玉)3個酸味の強い品種(国産)。皮をむき芯を除いて3mm厚の薄切り
- アルマニャック40mlガスコーニュ特産のぶどう蒸留酒。りんごに含ませる。酒販店・通販で入手可
- グラニュー糖(りんご用)50gりんごをマリネする用
- バター(層用・無塩)100g溶かして生地の各層に刷毛で塗る。層の軽さと香ばしさを作る
- グラニュー糖(層用)40g生地の各層に振る
- 粉糖(仕上げ用)10g焼き上がりに茶こしでふる
作り方
材料を扱う
- 1 生地を作る。
- 2 ボウルに強力粉250gと塩(生地用)3gを入れて混ぜる
- 3 中央にくぼみを作り、卵(生地用)1個・サラダ油30ml・ぬるま湯100mlを加えて混ぜる
- 4 台に取り出し、なめらかで弾力のある生地になるまで10分ほどしっかりこねる。表面がつるりとしたら丸めて油(分量外)を薄く塗る。
食材を戻す
- 1 生地をラップで包み、室温で2時間休ませる。
- 2 グルテンが緩み、破れずに薄く伸ばせるようになる。
注意点
この休ませが不十分だと生地は必ず破れる。
材料を準備する
- 1 並行(生地を休ませる間に)りんご3個の皮をむいて芯を除き、3mm厚の薄切りにする。
- 2 ボウルに入れ、アルマニャック40mlとグラニュー糖(りんご用)50gをまぶして30分マリネする。
材料を扱う
- 1 バター(層用)100gを小鍋で溶かしておく。
- 2 テーブルに清潔な大きい布(シーツ状のもの)を敷き、打ち粉をたっぷり振る。
休ませて落ち着かせる
- 1 休ませた生地を布の中央に置き、めん棒でできるだけ薄く伸ばしてから、両手の甲を生地の下に入れ、中心から外へ向かって少しずつ引き伸ばす。
- 2 破れないよう手の甲で支えながら、新聞の文字が透けて読めるほど薄く、80cm四方程度まで伸ばす。
- 3 縁の厚い部分は切り落とす。
注意点
爪や指先を立てると生地が破れる。必ず手の甲を使い、生地の重さで自然に伸びるのを助けるように動かす。小さな破れは重ねる際に隠れるため気にしない。
オーブンを整える
- 1 オーブンを180℃に予熱し始める。
- 2 並行(予熱を待つ間に)伸ばした生地を15分置いて表面を軽く乾かし、扱いやすくする。
材料を準備する
- 1 生地を20cm四方程度のシート10枚に切り分ける。
- 2 直径22cmの型にバター(分量外)を塗り、シート1枚に溶かしバターを刷毛で塗ってグラニュー糖(層用)を軽く振り、型に敷く。
- 3 同様に5枚を少しずつ角度をずらして重ねる。
味をなじませる
- 1 マリネしたりんごを汁ごと生地の上に広げる。
- 2 残りのシート5枚それぞれに溶かしバターとグラニュー糖(層用)を施し、ふんわりとくしゃませて花びらのようにりんごの上に立てて乗せる。
- 3 この立体的な頂が焼き上がりの「花冠」になる。
焼き上げる
- 1 180℃のオーブンで40〜45分焼く。
- 2 頂の生地が濃いきつね色でパリパリになり、層の間から果汁が静かに泡立っていたら焼き上がり。
注意点
頂が焦げそうなら途中でアルミホイルをかぶせる。
休ませて落ち着かせる
- 1 型のまま15分粗熱を取り、粉糖10gを茶こしでふる。
- 2 温かいうちに供すると層の軽さが最も生きる。
INGREDIENT OPTIONS
手に入る食材で、本格の輪郭を保つ
パスティス・ガスコンは、次の食材でも作れます。味や食感、手順への影響を確認して選んでください。
強力粉の代わりに
市販フィロ生地(冷凍)
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
手延ばし生地のわずかな厚みのむらが生む食感の表情が失われ、均一で軽い仕上がりになる
生地作り・休ませ・手延ばしの工程(工程1〜2と5)を省き、解凍したフィロ生地10枚をそのまま使う
りんご(紅玉)の代わりに
ジョナゴールド
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
酸味がやや穏やかになるが、近い仕上がりになる
アルマニャックの代わりに
ブランデー(コニャック等)
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
アルマニャック特有の野性味のある香りが、より整った香りに変わる
アルマニャックの代わりに
カルヴァドス
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
りんごの蒸留酒のため相性はよいが、ガスコーニュらしさはノルマンディーの香りに置き換わる
この料理について
ガスコーニュはフランス南西部、アルマニャックの蒸留所と農園が点在する丘陵の土地です。パスティス・ガスコンは、この地方の農家で祝いの日に焼かれてきた菓子で、クルスタード・オ・ポムの名でも知られています。
最大の特徴は、テーブル一面に広げた布の上で、生地を新聞が透けて読めるほど薄く手で伸ばす製法にあります。かつては家族の女性たちが集まり、テーブルを囲んで四方から生地を引き伸ばす光景が、この菓子の仕込みの風物詩でした。
現在では手延ばしの技術を持つ作り手は減りつつありますが、ガスコーニュの市場や祭りでは今も職人が実演を披露し、地方の菓子店には花冠のように生地を立てたパスティスが並びます。アルマニャックを含ませたりんごとともに、土地の誇りを映す一皿です。
QUESTIONS
よくある質問
パスティス・ガスコンに市販フィロ生地(冷凍)を使ってもいいですか?
使えます。ただし強力粉を市販フィロ生地(冷凍)に替えると本格度が10点下がります。手延ばし生地のわずかな厚みのむらが生む食感の表情が失われ、均一で軽い仕上がりになる。生地作り・休ませ・手延ばしの工程(工程1〜2と5)を省き、解凍したフィロ生地10枚をそのまま使う。
パスティス・ガスコンにジョナゴールドを使ってもいいですか?
使えます。ただしりんご(紅玉)をジョナゴールドに替えると本格度が5点下がります。酸味がやや穏やかになるが、近い仕上がりになる。
パスティス・ガスコンにブランデー(コニャック等)を使ってもいいですか?
使えます。ただしアルマニャックをブランデー(コニャック等)に替えると本格度が5点下がります。アルマニャック特有の野性味のある香りが、より整った香りに変わる。
パスティス・ガスコンを失敗せずに作るコツはありますか?
つまずきやすいのは次の点です。この休ませが不十分だと生地は必ず破れる。爪や指先を立てると生地が破れる。必ず手の甲を使い、生地の重さで自然に伸びるのを助けるように動かす。小さな破れは重ねる際に隠れるため気にしない。頂が焦げそうなら途中でアルミホイルをかぶせる。
パスティス・ガスコンを作るのにどれくらい時間がかかりますか?
4人分で合計4時間15分です(準備1時間・調理45分・待ち時間2時間30分)。待ち時間は手を離せるため、他の料理と並行して進められます。
パスティス・ガスコンは家庭で作るのが難しいですか?
難易度は5段階中5で、技術の見極めが要る一皿です。全10工程のうち仕上がりを左右するのは「食材を戻す」「休ませて落ち着かせる」で、各工程に見極めの目安と注意点を明記しています。
READER REVIEWS
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次の週末は、コース料理を家で。
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