AUTHENTIC RECIPE
Risotto al Nero di Seppia alla Venezianaリゾット・アル・ネロ・ディ・セッピア(イカスミのリゾット ヴェネツィア風)
甲イカを丸ごと下処理して墨袋を自分で取り出し、その墨と魚のアラから引いたフュメットだけで炊き上げるヴェネツィアの定番プリモ。墨は本場の seppie in nero と同じくまずイカと一緒に20分煮込んで角を抜き、イカ自身に吸わせてから、炊きの後半に残りを加えて色を締める二段構成。ヴィアローネ・ナノ米を白ワインでトスタトゥーラし、熱いフュメットを注ぎ足しながら16分、外側は溶けかけ芯はわずかに残る「オンダ(波打つ流動性)」に仕上げる。イカは煮込み分と仕上げ分に分け、仕上げ分は別鍋で強火で表面だけ焼き付けて最後に合わせる。マンテカトゥーラは冷たいバターのみでチーズは加えないのが海の幸のリゾットの鉄則。
本場北イタリアで受け継がれてきた作り方を基準にした本格レシピを、仕上がりを左右する判断点まで省略せずに紹介します。
AUTHENTICITY SCORE
本格度スコア
標準レシピの食材と手順です。代替食材を選ぶと、味・食感・工程への影響とともにスコアが変わります。
材料(4人分)
- 甲イカ(墨袋つきの丸ごと)1400g内臓・甲・眼・くちばし・皮を外した掃除後の可食部は約800g(歩留まり約57%)。墨袋は破らずに取り出して別置き。可食部のうち550gを煮込み用、250gを仕上げ用に分け、胴は1cm角、足は2cm長さに切る
- イカスミ(パック入り)8g甲イカの墨袋が小さい場合の補填用。墨袋の中身と合わせ、温かいフュメット50mlで溶きのばして煮込み用2/3・リゾット用1/3に分ける
- ヴィアローネ・ナノ米320g洗わずそのまま使用。ヴェネト伝統の短粒種で、汁気の多い「オンダ」の仕上がりに向く
- 白身魚のアラ(頭と中骨)800gえらと血合いを除き、冷水で15分さらしてから使う。フュメット用
- 水(フュメット用)2400ml冷水からアラを入れて加熱する。漉し上がりで約1800ml(墨溶き50ml・煮込み250ml・炊き1350ml+予備)
- 白玉ねぎ200g120gはソッフリット用に極みじん切り、80gはフュメット用にざく切り
- にんじん60gフュメット用に2cm幅の輪切り
- セロリ60gフュメット用に筋を取って3cm長さに切る
- にんにく2片芯を除き、包丁の腹で潰す。ソッフリット用
- イタリアンパセリ25g茎5gは束ねてフュメット用、葉15gはみじん切りにしてイカの煮込みへ、葉5gはみじん切りにして仕上げに散らす
- 辛口白ワイン(ソアーヴェ)100mlトスタトゥーラ後の米に加える。常温に戻しておく
- エキストラヴァージンオリーブオイル70ml30mlはソッフリット、15mlはトスタトゥーラ、10mlは仕上げ用イカの焼き付け、15mlは仕上げの香りづけ
- 冷たいバター(無塩)40g1.5cm角に切り、使う直前まで冷蔵庫で冷やす。マンテカトゥーラ用
- トマトペースト10gイカの煮込みに加え、墨の苦味に丸みを与える
- 黒胡椒(粒)5粒フュメット用
- 黒胡椒(挽きたて)小さじ0.5仕上げ用
- 塩(細粒)13gイカの煮込みに4g、リゾットの炊き途中(8分)に4g、仕上げに5g。フュメットには塩を入れない
作り方
甲イカの下処理と墨袋の取り出し
- 1 甲イカ1400gを流水で洗い、胴に指を入れて胴と足のつながりを外し、内臓ごと足を静かに引き抜く。
- 2 引き抜いた内臓の間から、銀色から青黒く光る細長い墨袋を指先で探し当て、破らないように付け根を切り離して小皿に取り、冷蔵庫に入れる。
- 3 胴から半透明の甲(軟骨)と内側の薄皮を抜き取り、胴の外皮を親指の腹で端からめくって完全に剥く。
- 4 足の中央にあるくちばし(口球)を押し出して除き、眼球を包丁で切り落とし、吸盤の硬いリングを指でしごき落とす。
- 5 胴と足をボウルの冷水で2回すすいで内側の砂と墨の残りを洗い流し、キッチンペーパーで水気を完全に拭く。
- 6 掃除の済んだ可食部(約800g)を秤に載せ、胴を1cm角、足を2cm長さに切り分ける。
- 7 切ったイカを煮込み用550gと仕上げ用250gに計量して別々のボウルに分け、どちらも冷蔵庫に入れる。
完了の目安
墨袋がすべて無傷のまま小皿に取り分けられている。
可食部が約800g得られ、煮込み用550gと仕上げ用250gの2つのボウルに分かれている。
イカの身の表面に水滴が残っていない。
注意点
墨袋は薄く破れやすい。内臓を引き抜くときに強く引っ張ると胴の中で破裂し、身が黒く染まって墨が回収できなくなる。
くちばしを残すと噛んだときに硬い異物として当たる。
水気が残ったまま炒めると温度が下がり、イカから水分が出て硬くなる。
補足
甲イカの歩留まりは内臓・甲・皮・眼を外して55〜60%程度。1400gの丸ごとで可食部が800gに届かない場合は、煮込み用と仕上げ用の比を2:1に保って配分すればよい。
ヴェネツィアの魚屋では墨袋つきのまま売られるのが普通で、店に頼めば墨袋だけ別包みにしてくれる。
フュメットを仕込む
- 1 並行(アラを冷水にさらしている間に)白玉ねぎ80gをざく切り、にんじん60gを2cm幅の輪切り、セロリ60gを筋を取って3cm長さに切る。
- 2 白身魚のアラ800gのえらと血合いを指と包丁の先で完全に取り除き、ボウルの冷水に15分さらす。
- 3 さらしたアラを流水で洗い、水を切って厚手の鍋に入れる。
- 4 切っておいた白玉ねぎ80g・にんじん60g・セロリ60gを鍋に加える。
- 5 イタリアンパセリの茎5gを束ねて鍋に入れ、黒胡椒の粒5粒を加える。
- 6 冷水2400mlを注ぎ、中火にかける。
完了の目安
アラと香味野菜が冷水2400mlに完全に浸かっている。
さらし水に血の色が出ておらず、アラに血合いの赤黒い部分が残っていない。
注意点
血合いを残すと生臭さと濁りの原因になる。
フュメットには塩を入れない。リゾットで煮詰まるため塩辛くなる。
補足
ヴェネトではスズキ・ヒラメ・ホウボウなど白身のアラを使い、青魚は脂と臭みが強いため避ける。
フュメットを煮出して漉し、保温する
- 1 沸騰直前に火を弱め、表面に浮くアクと泡をお玉で丁寧にすくい取る。
- 2 液面が細かく震える程度の弱火(85〜90℃)を保ち、蓋をせず25分煮出す。
- 3 火を止め、目の細かいざるにペーパータオルを敷いて別鍋に静かに漉し、アラを押し潰さずに自然に落とす。
- 4 漉した液体を計量カップで量り、1800mlに足りなければ湯を足して1800mlに調整する。
- 5 漉したフュメットを弱火にかけ、常に80℃前後の熱い状態で保温する。
完了の目安
フュメットが透明感のある淡い琥珀色になり、生臭さのない澄んだ香りがしている。
漉して調整した液体が1800mlある。
注意点
ぐらぐら沸騰させると白濁し、魚臭さと苦味が出る。
25分を超えて煮出すと骨の苦味とえぐみが溶け出す。
蓋をすると蒸気が戻って生臭さがこもる。
補足
1800mlの内訳は墨溶き50ml・イカの煮込み250ml・リゾットの炊き1350ml、残り150mlが煮汁の補充用の予備。
墨を溶きのばし、二段使い用に分ける
- 1 冷蔵庫から墨袋を取り出し、小さなボウルの上に置いた茶漉しの中に入れる。
- 2 墨袋をナイフの先で切り開き、スプーンの背で押して中身を茶漉しから漉し落とし、袋の膜は捨てる。
- 3 市販のイカスミ8gを同じボウルに加える。
- 4 熱いフュメット50mlを注ぎ、小さな泡立て器で30秒間、粒やダマがなくなるまで完全に溶きのばす。
- 5 溶いた墨液の2/3を煮込み用の小鉢に、1/3をリゾット用の小鉢に分け、どちらもラップをかけてコンロの近くに置く。
完了の目安
墨液が均一なとろりとした黒い液体になり、底に粒が沈んでいない。
煮込み用2/3とリゾット用1/3の2つの小鉢に分かれている。
注意点
墨は服・木製まな板・目地に付くと落ちない。ボウルの周囲に新聞紙かペーパーを敷いておく。
溶き残しのダマがあるとリゾットに黒い粒として残り、口当たりが悪くなる。
補足
墨を煮込みとリゾットに分けて使うのが本場の考え方で、煮込み側の墨は生臭さと角を煮て抜きながらイカ自身に吸わせ、リゾット側の墨は最後に色とつやを締める役目を負う。
甲イカの墨袋だけでは色が灰色寄りになるため、ヴェネツィアの店でもパック入りの墨で色を補うのは一般的。
ソッフリットを作り、イカと墨を合わせる
- 1 白玉ねぎ120gを極みじん切りにする。
- 2 にんにく2片の芯を除き、包丁の腹で潰す。
- 3 直径28cmの幅広厚手鍋(この鍋でリゾットまで仕上げる)にオリーブオイル30mlを入れ、潰したにんにくを加えて弱火にかける。
- 4 にんにくが薄く色づくまで弱火で4分ほど香りを移し、にんにくを取り出して捨てる。
- 5 みじん切りの白玉ねぎ120gを加え、弱めの中火で8〜10分、色をつけずに透明でとろりとするまで木べらで混ぜながら炒める。
- 6 煮込み用のイカ550gを鍋に加え、中火で3分、表面が白く縮むまで炒める。
- 7 トマトペースト10gを加えて1分炒め合わせ、酸味を飛ばす。
- 8 イタリアンパセリの葉15gのみじん切りと、煮込み用の墨液2/3を加え、全体が均一な黒に染まるまで30秒混ぜる。
- 9 熱いフュメット250mlを注ぎ、塩4gを加えて中火で煮立てる。
完了の目安
イカと玉ねぎが墨をまとって均一な黒褐色になり、鍋の縁まで煮立っている。
鍋底に焦げつきがなく、墨のざらつきが液体に完全に溶けている。
注意点
玉ねぎに焼き色をつけると墨の黒に茶色が混ざり、仕上がりの色が濁る。
イカを強火で長く炒めると水分が抜けてゴムのように硬くなる。
墨を加えたあとは焦げやすいので、フュメットを注ぐまで30秒以上放置しない。
補足
イカを2回に分けて火入れするのは、長時間煮て柔らかくなった身と、最後に短時間で焼き付けた歯ごたえのある身の両方を一皿に共存させるため。
イカを20分煮込んで柔らかくする
- 1 並行(イカを煮込んでいる間に)冷たいバター40gを1.5cm角に切り、使う直前まで冷蔵庫に戻しておく。
- 2 並行(イカを煮込んでいる間に)仕上げ用の平皿4枚を50℃前後で温め始める。
- 3 弱火に落として蓋を少しずらしてのせ、20分煮込む。
- 4 10分ほど経った時点で煮汁の量を見て、イカの高さの半分を下回っていたら熱いフュメットを50ml足す。
- 5 20分経ったら火を止める。
完了の目安
イカが指で押して弾力の中に柔らかさが感じられる状態になっている。
煮汁がイカの高さの半分程度まで減り、黒くとろみのある濃さになっている。
注意点
煮汁が完全になくなると墨が鍋底で焦げて苦味が出る。
強火で煮立て続けるとイカが締まって硬くなる。液面が静かに揺れる程度の弱火を保つ。
補足
この20分でイカの繊維がほどけ、墨の生臭さと角が抜けて丸い旨みに変わる。ここが seppie in nero の核心。
トスタトゥーラ(米の焙煎)
- 1 並行(米を炒めている間に)隣のコンロのフュメットが80℃前後に保温されているか確認する。
- 2 イカの煮込みが入った直径28cmの鍋を中火にかけ、オリーブオイル15mlを回し入れる。
- 3 ヴィアローネ・ナノ米320gを洗わずにそのまま加える。
- 4 木べらで絶えず混ぜながら中火で2〜3分、米粒を鍋底と油になじませて炒める。
完了の目安
米粒の外側が透き通り、中心の胚乳部分だけが白く残っている。
米粒が熱く、鍋から乾いた香ばしい匂いが立ちはじめている。
注意点
米を洗うと表面のデンプンが流れ、リゾットのクリーミーさが出なくなる。
米に焼き色がつくと香ばしさが墨の風味を邪魔するため、焦がさない。
補足
トスタトゥーラで米の表面を油膜で覆うことで、粒が崩れずに芯を残したまま炊き上がる。
白ワインを煮切る
- 1 常温の辛口白ワイン100mlを一気に注ぎ、強めの中火で混ぜながら煮立てる。
完了の目安
ワインの酸の刺激臭が消え、鍋底に液体がほとんど残らず「ジュッ」という音に変わっている。
注意点
酒類には決して着火しない。煮立ててアルコールを飛ばす。
煮切る前に次のフュメットを注ぐとアルコール臭が残る。
補足
ヴェネトではソアーヴェやガルガーネガ系の辛口白を使い、樽香の強いワインは避ける。
フュメットを注ぎ足しながら16分炊く
- 1 並行(炊き始めから12分経った頃、リゾットを混ぜる合間に)別のフライパンにオリーブオイル10mlを入れて強火で煙が立つまで熱し、仕上げ用のイカ250gを広げて30〜40秒、表面だけ白く焼き付けて火を止める。
- 2 熱いフュメットを150ml注ぎ、木べらで鍋底をなぞるように混ぜる。
- 3 液面が米の表面すれすれまで減るたびに、熱いフュメットを120mlずつ注ぎ足す(合計10回、フュメット使用量は最初の150mlと合わせて1350ml)。
- 4 中火を保ち、1〜2分おきに鍋底から大きく混ぜ返す。
- 5 炊き始めから8分経ったところで塩4gを振り入れて混ぜる。
- 6 炊き始めから10分経ったところで、リゾット用に取り分けた墨液1/3を全量加え、全体が均一な漆黒になるまで30秒混ぜる。
- 7 炊き始めから14分の時点で米粒を1粒つまんで噛み、芯の残り具合を確かめる。
- 8 焼き付けた仕上げ用イカ250gをフライパンの油ごと鍋に加え、混ぜながら最後の2分炊く。
完了の目安
炊き始めから合計16分が経過し、米の外側が溶けかけ、中心にごく細い芯だけが残っている。
鍋を揺すると表面が波打ち、木べらで線を引くと1秒ほどで跡が閉じる流動性がある。
フュメットの使用量が1350mlに達している。
注意点
冷たいフュメットを注ぐと米の温度が下がって炊きムラができるため、必ず80℃前後の熱いものを使う。
混ぜすぎると粒が崩れて粥になり、混ぜなさすぎると鍋底が焦げる。
仕上げ用イカを焼き付けるときは動かしすぎない。水分が出ると焼き付かず茹でた状態になる。
仕上げ用イカを14分より早く入れると硬くなる。最後の2分を厳守する。
補足
ヴェネトの「オンダ(波)」は、皿を傾けると risotto がゆっくり流れる緩さを指す。ミラノ風より明らかに汁気が多い。
仕上げ用イカを生のまま入れず先に強火で焼き付けるのは、余分な水分を出させずに香りを立て、オンダの流動性と塩味を崩さないため。
マンテカトゥーラと盛り付け
- 1 火を完全に止め、鍋を火から下ろす。
- 2 冷蔵庫から出した冷たいバター40gを一度に加える。
- 3 鍋を左右に強く揺すりながら、木べらで底から手早く20〜30秒混ぜ、バターを米に乳化させる。
- 4 塩5gと挽きたての黒胡椒小さじ1/2を加えてひと混ぜする。
- 5 鍋に蓋をして1分休ませる。
- 6 蓋を取ってもう一度大きくひと混ぜし、温めた平皿4枚に等分に流し入れる。
- 7 皿の底を手のひらで軽く叩き、リゾットを自然に平らに広げる。
- 8 仕上げのオリーブオイル15mlを4皿に細く回しかけ、イタリアンパセリの葉5gのみじん切りを散らす。
完了の目安
表面につやのある黒い膜が生まれ、皿の上でゆるやかに広がって縁が波打っている。
粒が分離せず、全体が一体のクリーム状にまとまっている。
注意点
火にかけたままバターを入れると油が分離してぎらついた表面になる。必ず火を止めてから加える。
魚介のリゾットにパルミジャーノなどのチーズは加えない。磯の風味を殺す。
盛り付けを待つと余熱で水分が飛んで固まるため、仕上げたら直ちに供する。
補足
この休ませる1分は「all'onda に落ち着かせる」ための時間で、ヴェネトの厨房では必ず取られる。
黒く染まる皿なので、白い平皿に盛るとヴェネツィアらしいコントラストが出る。
INGREDIENT OPTIONS
手に入る食材で、本格の輪郭を保つ
リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピア(イカスミのリゾット ヴェネツィア風)は、次の食材でも作れます。味や食感、手順への影響を確認して選んでください。
甲イカ(墨袋つきの丸ごと)の代わりに
ヤリイカ(墨袋つき)
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
身が薄く繊細になり、甲イカ特有のねっとりした甘みとコクが弱まる。
ヤリイカは加熱で硬化しやすいため、煮込み時間を20分から8分に短縮する。
丸ごと重量は歩留まりが高いので1200gとし、可食部800gを同じく550g/250gに分ける。
甲イカ(墨袋つきの丸ごと)の代わりに
冷凍イカ胴+市販イカスミ増量
代わりに使える食材 · 本格度 -20点
イカ自身の墨と肝の旨みが失われ、塩気主体の平板な味になる。
墨袋の取り出し工程を省き、冷凍イカ胴800gをそのまま可食部として550g/250gに分ける。
市販イカスミを8gから20gに増やし、フュメット50mlで溶いて2:1に分ける。
冷凍イカは冷蔵庫で12時間かけて解凍し、水気を完全に拭き取ってから切る。
冷凍イカは硬化しやすいため、煮込み時間を20分から10分に短縮する。
イカスミ(パック入り)の代わりに
甲イカの墨袋のみで代用(追加なし)
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
色が漆黒ではなく濃いグレー寄りになるが、風味は最も純粋で角がない。
墨を溶きのばす工程で市販イカスミを加えず、墨袋の中身のみをフュメット40mlで濾しながら溶き、同じく2:1に分ける。
ヴィアローネ・ナノ米の代わりに
日本の短粒米(無洗米以外)
代わりに使える食材 · 本格度 -35点
糊化が進んで粥状になり、粒の輪郭とアルデンテ感が失われる。
米は絶対に洗わず、炊き時間を16分から12分に短縮する。
フュメットの注ぎ足し総量を1350mlから1050mlに減らす(最初の150ml+120ml×7回+90ml×1回)。
墨液の残り1/3を加えるタイミングを炊き始め10分から7分に繰り上げる。
ヴィアローネ・ナノ米の代わりに
カルナローリ米
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
粒の芯がより強く残り、全体がやや締まった食感になる。
炊き時間を16分から18分に延ばし、フュメットの注ぎ足しを120ml×12回+最初の150ml(合計1590ml)に増やす。
ヴィアローネ・ナノ米の代わりに
アルボリオ米
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
デンプンが出やすく粘りが強くなり、粒立ちが甘くなる。
フュメットの追加量を1回あたり120mlから80mlに減らし(最初の150ml+80ml×15回=1350ml)、混ぜる回数を1〜2分おきから3分おきに控える。
白身魚のアラ(頭と中骨)の代わりに
市販の無添加フィッシュブイヨン
代わりに使える食材 · 本格度 -20点
香りの立体感が減り、塩味が強く単調になる。
フュメットを仕込み・煮出す工程を省き、規定濃度より20%薄めた液体1800mlを80℃に温めて使う。
塩の総量を13gから8gに減らし、煮込み2g・炊き途中3g・仕上げ3gに配分する。
白身魚のアラ(頭と中骨)の代わりに
海老の頭と殻
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
甲殻類の甘く香ばしい風味が前に出て、イカスミの磯の風味がやや隠れる。
海老の頭と殻800gを、追加のオリーブオイル15ml(リストの70mlとは別に用意)で中火5分炒めてから水2400mlを加える。
白玉ねぎの代わりに
エシャロット
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
甘みが上品になり、輪郭がやや繊細で軽い味わいになる。
焦げやすいため、ソッフリットの加熱を弱めの中火8〜10分から弱火6分に変える。
にんにくの代わりに
にんにくパウダー
代わりに使える食材 · 本格度 -20点
生にんにくの立ち上がる香りがなく、こもった乾いた香りになる。
オイルに香りを移す工程を省き、イカを鍋に加える直前に小さじ1/2を振り入れて10秒炒める。
イタリアンパセリの代わりに
パセリ(縮葉種)
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
香りが強く青臭さが増し、繊維質の食感がわずかに残る。
仕上げ用は繊維が硬いので、葉5gをより細かく刻んでから散らす。
辛口白ワイン(ソアーヴェ)の代わりに
フュメット100ml+レモン汁小さじ1
代わりに使える食材 · 本格度 -20点
ワイン由来の芳香と厚みが失われ、酸味だけが直線的に残る。
漉した1800mlのフュメットのうち予備分から100mlを取り、追加のレモン汁小さじ1(5ml)とともに注ぐ。
アルコールを飛ばす必要がないため、注いだら30秒煮立てて次のフュメット追加に移る。
辛口白ワイン(ソアーヴェ)の代わりに
辛口の日本産白ワイン
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
酸の輪郭がやや穏やかになり、余韻が丸くなる。
トマトペーストの代わりに
完熟トマトの果肉(種を除き裏漉し)
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
凝縮感が減って軽い酸味になり、色味がわずかに赤みを帯びる。
トマトペーストの代わりに裏漉しトマト40gを加え、炒め時間を1分から3分に延ばして水分を飛ばす。
この料理について
ヴェネツィアはラグーナと呼ばれる潟の上に築かれた町です。潟の浅瀬では甲イカがよく獲れ、リアルト橋のたもとの魚市場には今も毎朝並びます。
リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピアは、その甲イカを墨袋ごと使う料理です。イカの身と墨を一緒に米に含ませ、皿の上を黒一色に染めます。潟の漁が支えてきた料理で、ヴェネツィア方言ではリゾット・ネーロ、あるいはセッピエ・アル・ネロと呼ばれてきました。
現在もヴェネツィアのトラットリアでは、看板料理のひとつとして扱われています。仕上げにチーズを振らないのが決まりで、魚介の料理にチーズを合わせないヴェネトの流儀がここにも現れています。
QUESTIONS
よくある質問
リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピア(イカスミのリゾット ヴェネツィア風)に日本の短粒米(無洗米以外)を使ってもいいですか?
作れますが、ヴィアローネ・ナノ米を日本の短粒米(無洗米以外)に替えると本格度が35点下がります。糊化が進んで粥状になり、粒の輪郭とアルデンテ感が失われる。米は絶対に洗わず、炊き時間を16分から12分に短縮する。
リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピア(イカスミのリゾット ヴェネツィア風)に冷凍イカ胴+市販イカスミ増量を使ってもいいですか?
作れますが、甲イカ(墨袋つきの丸ごと)を冷凍イカ胴+市販イカスミ増量に替えると本格度が20点下がります。イカ自身の墨と肝の旨みが失われ、塩気主体の平板な味になる。墨袋の取り出し工程を省き、冷凍イカ胴800gをそのまま可食部として550g/250gに分ける。
リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピア(イカスミのリゾット ヴェネツィア風)に市販の無添加フィッシュブイヨンを使ってもいいですか?
作れますが、白身魚のアラ(頭と中骨)を市販の無添加フィッシュブイヨンに替えると本格度が20点下がります。香りの立体感が減り、塩味が強く単調になる。フュメットを仕込み・煮出す工程を省き、規定濃度より20%薄めた液体1800mlを80℃に温めて使う。
リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピア(イカスミのリゾット ヴェネツィア風)を失敗せずに作るコツはありますか?
つまずきやすいのは次の点です。墨袋は薄く破れやすい。内臓を引き抜くときに強く引っ張ると胴の中で破裂し、身が黒く染まって墨が回収できなくなる。くちばしを残すと噛んだときに硬い異物として当たる。水気が残ったまま炒めると温度が下がり、イカから水分が出て硬くなる。
リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピア(イカスミのリゾット ヴェネツィア風)を作るのにどれくらい時間がかかりますか?
4人分で合計2時間47分です(準備1時間3分・調理1時間44分)。
リゾット・アル・ネロ・ディ・セッピア(イカスミのリゾット ヴェネツィア風)は家庭で作るのが難しいですか?
難易度は5段階中4で、技術の見極めが要る一皿です。全10工程のうち仕上がりを左右するのは「フュメットを注ぎ足しながら16分炊く」「甲イカの下処理と墨袋の取り出し」で、各工程に見極めの目安と注意点を明記しています。
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次の週末は、コース料理を家で。
すべての皿が、いちばんおいしい瞬間に。
作りたい料理を選んだら、買い物も当日の段取りもChef Authenにおまかせ。タベリアのアプリが、前菜からメインまで、あなたのキッチンでひとつのコースに仕上げます。
- 買い物をひとつに献立と代替後の材料から、チェックできる買い物リストを自動作成
- 段取りをひとつに待ち時間や火入れを組み合わせ、全料理の工程を一本のタイムラインに
- レシピの先まで、答える火加減の見極めもアレンジの相談も、調理中の疑問にChef Authenが具体的な判断基準で回答