AUTHENTIC RECIPE
Moules Marinièresムール・マリニエール
ブルターニュをはじめ北フランスの沿岸で秋から冬に親しまれる「船乗り風」のムール貝の白ワイン蒸し。下処理した貝を白ワイン・エシャロット・バターで一気に蒸し上げるだけだが、貝の下処理の丁寧さと火を止める瞬間の見極めがすべてを決める。空いた殻をトング代わりに身を外し、最後は汁にバゲットを浸して味わい尽くすのが本場の食べ方である。
本場ブルターニュと西部で受け継がれてきた作り方を基準にした本格レシピを、仕上がりを左右する判断点まで省略せずに紹介します。
AUTHENTICITY SCORE
本格度スコア
標準レシピの食材と手順です。代替食材を選ぶと、味・食感・工程への影響とともにスコアが変わります。
材料(4人分)
- ムール貝2kg国産・輸入とも流通あり。足糸(ヒゲ)を根元から引き抜き、殻をたわしでこすり洗いする。口が開いたまま閉じない貝・殻が割れた貝は除く
- 辛口白ワイン300mlミュスカデなど酸のきれいな辛口が理想。蒸し汁のベースになる
- エシャロット3個みじん切り
- バター(無塩)40gエシャロットを炒め、蒸し汁にコクを与える
- にんにく1片みじん切り
- タイム(生)2枝
- ローリエ1枚
- イタリアンパセリ1束粗みじん切り。仕上げに混ぜ込む
- 黒胡椒小さじ0.5粗挽き。貝の塩気があるため塩は加えない
- バゲット1本2〜3cm厚に切って軽く温める。蒸し汁に浸して食べる
作り方
食材を下処理する
- 1 ムール貝の下処理をする。
- 2 ボウルにためた水の中で殻同士をこすり合わせて洗う
- 3 殻の外側についたフジツボや汚れをたわしでこすり落とす
- 4 殻の合わせ目から出ている足糸(ヒゲ)を、殻の蝶番側に向かって引き抜く
- 5 口が開いたまま軽く叩いても閉じない貝、殻が割れた貝は除く
- 6 ヒゲを抜くと貝が弱るため、この下処理は調理の直前に行う。
完了の目安
すべての貝のヒゲが取れ、殻の表面がきれいになったら次へ。
材料を準備する
- 1 エシャロット3個をみじん切りにする
- 2 にんにく1片をみじん切りにする
- 3 イタリアンパセリを粗みじん切りにする
- 4 バゲットを2〜3cm厚に切る
材料を準備する
- 1 ふた付きの大きな鍋にバター40gを入れて中火で溶かし、エシャロットとにんにくのみじん切りを加えて2〜3分炒める。
- 2 透き通って甘い香りが立ち、色づく前が引き上げどき。
- 3 タイム2枝とローリエ1枚を加える。
煮る
- 1 強火にして白ワイン300mlを注ぎ、1分ほど煮立ててアルコール臭を飛ばす。
- 2 ムール貝を一気に加えてふたをし、強火のまま4〜5分蒸す。
- 3 途中1〜2回、鍋を両手で持って上下に大きく揺すり、貝の位置を入れ替える。
- 4 加熱を続けると身が縮んで硬くなるため、大半が開いた時点で完了とする。
完了の目安
最後まで開かない貝は取り除く。
注意点
貝が開いたらすぐ火を止める。
材料を準備する
- 1 鍋に黒胡椒を挽き、パセリの粗みじん切りを加えて、鍋底からすくい上げるように全体を大きく混ぜる。
- 2 パセリが全体に均一に混ざったら、貝を煮汁ごと深皿に盛る。
仕上げにまとめる
- 1 軽く温めたバゲットを添えて供する。
- 2 本場では空いたムール貝の殻をトングのように使って次の貝の身を外しながら食べ進め、最後は残った蒸し汁にバゲットを浸して味わい尽くす。
- 3 蒸し汁まで含めて一皿である。
INGREDIENT OPTIONS
手に入る食材で、本格の輪郭を保つ
ムール・マリニエールは、次の食材でも作れます。味や食感、手順への影響を確認して選んでください。
ムール貝の代わりに
あさり
代わりに使える食材 · 本格度 -10点
出汁は上品で旨みが強いが、ムール貝特有の甘みと磯の香り、身のふっくらとした量感は失われる
調理前に3%塩水(水1Lに塩30g)で2時間砂抜きする
殻が小さく火が早く入るため蒸し時間を3〜4分に短縮
エシャロットの代わりに
玉ねぎ
代わりに使える食材 · 本格度 -5点
玉ねぎ1/2個(みじん切り)で代用。甘みがやや強く出るが、蒸し汁のベースとしては近い
この料理について
ブルターニュからノルマンディーへと続く北フランスの海岸では、干潟に立てた木の杭「ブショー」にムール貝を付着させて育てる養殖が古くから行われてきました。潮の満ち引きにさらされて育つ貝は身が締まり、この地方の食卓に欠かせない海の幸です。
ムール貝の旬は、水温が下がり身が太る初秋から冬にかけて。9月になると港町のビストロやブラッスリーには黒い鍋が並び始め、山盛りのフリットを添えた「ムール・フリット」として供されます。鍋ごとテーブルに運ばれ、空いた殻をトング代わりに食べ進めるのが習わしです。
「マリニエール(船乗り風)」の名が示す通り、もとは船乗りや漁師が手元の白ワインと香味野菜で貝を蒸しただけの素朴な料理でした。今日ではフランス全土のブラッスリーの定番となり、秋の訪れを告げる料理として親しまれています。
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