AUTHENTIC RECIPE

Spaghetti con Alici Fresche e Pangrattatoスパゲッティ・コン・アリーチ・フレスケ・エ・パングラッタート(生カタクチイワシとパン粉のスパゲッティ)

合計
1時間6分
難易度
★★★☆☆
分量
4人分
  • 準備 35分
  • 調理 31分
Spaghetti con Alici Fresche e Pangrattato「スパゲッティ・コン・アリーチ・フレスケ・エ・パングラッタート(生カタクチイワシとパン粉のスパゲッティ)」
難易度★★★☆☆ 準備35分 調理31分 分量4人分 地方南イタリア・ナポリ

生のカタクチイワシを手開きにしてさっと火を通し、炒ったパン粉(パングラッタート)を仕上げに散らす、ナポリ湾岸の漁師のパスタ。

ナポリで受け継がれてきた作り方を基準にした本格レシピです。分量と時間だけでなく、次の工程へ進む目安となる状態も書いています。

100 / 100

AUTHENTICITY SCORE

本格度スコア

このスコアは、標準レシピの食材と手順で作った場合の値です。代わりに使える食材を選ぶと、味・食感・工程への影響とあわせてスコアが変わります。

材料(4人分)

100本格度
4

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作り方

1約25分

生カタクチイワシを手開きにする

  • 1 ボウルに水1Lと氷500gを入れて氷水を作る。
  • 2 生カタクチイワシ600gを氷水で軽くすすぎ、1尾ずつ取り出してキッチンペーパーで水気を押さえる。
  • 3 親指の爪を頭の付け根に入れて頭をもぎ取り、そのまま腹側に指を滑らせて内臓を引き出す。
  • 4 腹から尾に向けて親指の腹を中骨に沿わせて開き、身を左右に広げる。
  • 5 中骨を頭側から尾側へゆっくり引き上げ、尾の付け根で折って外す。
  • 6 背びれの残りと腹骨の硬い部分を指でつまんで取り除き、開いた身を氷水でさっと振り洗いする。
  • 7 開いた身をザルに並べ、キッチンペーパーで両面の水気をしっかり押さえる。
  • 8 バットに身を重ならないように並べ、細塩6gのうち5gを両面に均等に振り、ラップをかける。

完了の目安

正味約350gの開き身が取れ、身に骨や内臓の残りがない状態になっていれば次へ進む。

注意点

流水を直接強く当てると身が水を吸って崩れ、加熱時にほぐれてしまう。

中骨を一気に引くと身が裂けるので、尾に向けて力を分散させながら引き上げる。

水気が残ったまま塩を振ると塩が溶けて偏り、締まり方が不均一になる。

補足

ナポリやチレントでは、アリーチの手開き(spinare le alici)は指だけで行い包丁を使わない。身の断面が滑らかになり、油の中でも角が立たない。

開いた身を2枚1組の「」の形のまま残しておくと、皿の上での見栄えがよい。

600尾規模の手開きは慣れないと時間がかかる。急がず1尾ずつ形を整えるほうが、最後の一皿の仕上がりに効く。

2約30分

開き身を塩で締める

  • 1 並行(冷蔵している間に)ステップ3の香味野菜とパン粉の下ごしらえ、ステップ4のパングラッタート炒めを進める。
  • 2 ラップをかけたバットを冷蔵庫の最も冷える段に入れ、30分置いて締める。

完了の目安

身の表面の透明感がわずかに落ち、指で持ち上げても垂れずに形を保てば次へ進む。

注意点

1時間以上置くと塩が入りすぎ、加熱後に身がしまって硬くなる。

補足

約1.5%の塩で30分締めるのは、余分な水分を抜いて生臭みを取り、短時間加熱でも身が崩れないようにするための下処理。

3約10分

香味野菜とパン粉の下ごしらえ

  • 1 にんにく3片の皮をむき、2片は包丁の腹で潰して縦半分に割り、中央の芽を取り除く。
  • 2 残り1片は根元を落として1mm厚の薄切りにする。
  • 3 乾燥赤唐辛子1本のヘタを落とし、指で転がして種を出してから小口切りにする。
  • 4 固くなった田舎パン100gの硬い耳を落とし、フードプロセッサーで5〜6回パルスして、粒が2〜3mm残る粗いパン粉約80gにする。
  • 5 イタリアンパセリ15gの葉のみを摘み、粗みじん切りにして小皿に取る。

完了の目安

にんにく2種・唐辛子・粗パン粉約80g・パセリ15gがそれぞれ別容器に揃っていれば次へ進む。

注意点

フードプロセッサーを回しすぎると粉状になり、炒めても食感が残らない。

補足

パン粉は粗さが揃いすぎないほうがよい。大小の粒が混じることで、歯に当たる食感に立体感が出る。

パンから挽くのが本来のやり方で、市販パン粉より油を含んだときのコクが強い。

4約10分

パングラッタートを炒める

  • 1 並行(パン粉を炒める間に)大鍋に水4Lを入れて蓋をし、強火にかけて沸かし始める。
  • 2 フライパンにオリーブオイル30mlとにんにくの薄切り1片分を入れ、弱火にかけて2〜3分かけてじわじわ香りを出す。
  • 3 にんにくが薄いきつね色になったら取り出して捨て、粗パン粉80gを一度に加える。
  • 4 中弱火にし、木べらで絶えず全体を返しながら5〜7分炒める。
  • 5 全体が均一な濃いきつね色になったら火を止め、すぐにバットか浅い皿に広げて冷ます。

完了の目安

パン粉が均一な濃いきつね色になり、香ばしい焼けたパンの香りが立ち、木べらでなぞるとサラサラと乾いた音で動けば完了。

注意点

フライパンに入れたまま放置するとで一気に焦げ、苦味が全体に回る。

混ぜる手を止めると底面だけ黒くなる。色づき始めたら片時も離れない。

補足

pangrattato は南イタリアでチーズを買えない漁師が「貧者のチーズ(formaggio dei poveri)」として使ってきたもの。魚介のパスタにチーズを合わせない伝統を、食感とコクで補う役割を持つ。

広げて完全に冷ますことでサクサク感が保たれる。重ねたまま置くと湿気る。

5約5分

にんにくと唐辛子のオイルを作る

  • 1 並行(オイルを作る間に)大鍋の湯が沸騰しているか確認する。
  • 2 直径28cm以上のフライパンにオリーブオイル40ml、潰したにんにく2片、唐辛子の小口切りを入れ、弱火にかける。
  • 3 フライパンを傾けてオイルを回しながら3〜4分ゆっくり加熱する。
  • 4 にんにくが淡いきつね色になったらトングで取り出して捨て、火を止める。

完了の目安

オイルからにんにくと唐辛子の香りが立ち、にんにくを取り除いた状態で火が止まっていれば次へ進む。

注意点

にんにくを濃い茶色にすると苦味とえぐみがソース全体を支配する。

この段階で茹で汁や水分を加えない。デンプンの薄い湯ではの下地にならず、油の温度も落ちる。

補足

にんにくを取り出すのはナポリの魚料理の流儀。香りだけを移し、イワシの繊細な甘みを邪魔させない。

6約5分

パスタを茹で始め、茹で汁を確保する

  • 1 沸騰した湯に粗塩40gを加えて溶かす。
  • 2 再沸騰したらスパゲッティ360gを放射状に入れ、菜箸で沈めて全体を湯に浸す。
  • 3 湯が対流する程度の強めの中火にし、袋の表示時間より2分短いタイマーをセットする。
  • 4 最初の1分は麺同士がくっつかないよう菜箸で数回ほぐす。
  • 5 麺投入から4分たったら、レードルで茹で汁200mlを計量カップに取り置く。

完了の目安

麺投入から4〜5分が経過し、茹で汁200mlが計量カップに確保されていれば次へ進む。

注意点

塩を入れる前に麺を入れると麺自体に下味が付かない。

このあとイワシに火を通す3分を挟んで引き上げるため、タイマーは必ずセットする。

補足

塩分は10g/L。海水よりやや薄い濃度が、オイル系ソースには最も合う。

4分経過後の湯はデンプンが十分に溶けており、の下地になる。

7約3分

イワシに短時間だけ火を通す

  • 1 冷蔵庫からバットを取り出し、開き身の表面に浮いた水分をキッチンペーパーで軽く押さえる。
  • 2 にんにくのオイルのフライパンを中火にかけ、イワシを皮目を下にして重ならないように並べ入れる。
  • 3 白ワイン30mlをから回し入れ、中火のまま40〜50秒煮立ててアルコールの匂いを飛ばす。
  • 4 フライパンを揺すりながら、ヘラを使わずに1分〜1分30秒だけ加熱する。
  • 5 身の半分ほどが白く変わったら火を止め、コラトゥーラ・ディ・アリーチ10mlを回しかけ、フライパンを2〜3回揺すってなじませる。

完了の目安

イワシの身が半分ほど白濁し、中心にわずかに生の色が残っている状態で火が止まっていれば次へ進む。

注意点

酒類に着火してはいけない。必ず煮立ててアルコールを飛ばす。

菜箸やヘラで混ぜると身が崩れて原形をとどめなくなる。動かすときは鍋ごと揺する。

加熱しすぎると身がパサつき、生の甘みが完全に失われる。

このステップは鍋から離れない。ほかの作業は挟まない。

補足

皮目を下にしてに当てるのは、皮が身をつなぎとめて崩れにくくするため。返す必要はなく、上面は蒸気とで火が入る。

コラトゥーラは加熱すると香りが飛ぶため、必ず火を止めてから加える。アマルフィ海岸チェターラの伝統的な魚醤。

8約4分

マンテカトゥーラで和える

  • 1 タイマーが鳴ったら(麺投入から表示時間より2分短い時点)スパゲッティをトングで引き上げ、水を切りすぎずにフライパンへ移す。
  • 2 フライパンを中火にかけ、取り置いた茹で汁200mlのうち120mlを加える。
  • 3 トングで麺の束を持ち上げては落とす動きを繰り返し、1分30秒〜2分和えてソースを吸わせる。
  • 4 ソースが締まってきたら残りの茹で汁80mlを40mlずつ足し、とろみを保つ。
  • 5 火を止め、パセリの粗みじん10g、細塩1g、黒こしょう小さじ1/4を加え、オリーブオイル10mlを回しかけて全体を5〜6回大きく返す。

完了の目安

麺が艶をまとい、フライパンを傾けても液体が流れ落ちず、イワシの身が大きな形のまま麺に絡んでいれば完了。

注意点

トングで強く挟むとイワシが崩れる。麺の束をすくい上げるように動かす。

茹で汁を一度に入れすぎるとソースがせず水っぽくなる。

下味の塩とコラトゥーラで塩気は十分入っている。細塩は1gを超えて足さない。

補足

麺の水気を切りすぎないのは、付着した湯のデンプンがを助けるため。

9約4分

盛り付ける

  • 1 温めた皿4枚を用意し、トングで麺を高く持ち上げて捻りながら中央に山を作るように盛る。
  • 2 フライパンに残ったイワシとソースをスプーンですくい、各皿の麺の上に均等に置く。
  • 3 冷ましたパングラッタートを各皿に大さじ4(約20g)ずつ、計80gを麺の全面に散らす。
  • 4 残りのパセリ5gを4皿に散らし、黒こしょう小さじ1/4を4皿に均等に挽きかけて、すぐに供する。

完了の目安

4皿すべてに麺・イワシ・パン粉が均等に行き渡り、湯気が立っていれば完成。

注意点

パン粉を早く混ぜ込むと湿気てサクサク感が消える。必ず盛り付け直前に散らす。

冷たい皿に盛るとオイルが固まり艶が落ちる。

補足

カンパーニアではこの一皿にチーズを一切かけない。パン粉がその役割を担う。

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ナポリ・ポジリポ/マレキアーロの街並み・風景
Napoli, Marechiaroイタリアの風景 · ナポリ・ポジリポ/マレキアーロ 写真:Armando Mancini · CC BY-SA 2.0(リサイズ・表示トリミング)

この料理について

カンパーニャ州の海沿いでは、春から初夏にかけてカタクチイワシが最もよく獲れます。この魚は安く大量に揚がり、貧しい家の食卓を長く支えてきました。

このパスタは、生のカタクチイワシに、硬くなったパンを炒ったパン粉を合わせます。チーズを買えない家庭がパン粉で塩気と香ばしさを補ったのが始まりとされ、南イタリアでは今もパン粉を「貧者のチーズ」と呼ぶことがあります。生の魚が手に入る海辺でしか成り立たない料理でもあります。

ナポリからアマルフィにかけての漁港近くの店では、春になると品書きにこの名前が並びます。

代わりに使える食材

スパゲッティSpaghetti

  • ヴェルミチェッリ本格度: 変化なし

    ナポリ本来の太めの麺となり噛み応えが増す。

    工程6:太さが増すため袋の表示時間から2分引いた時間でタイマーをセットし直す。

  • リングイネ本格度: -5 pts

    断面が平たくなりオイルの絡みが増して口当たりがやや重くなる。

    工程6:袋の表示茹で時間から2分引いた時間でタイマーをセットし直す。

生カタクチイワシAlici fresche

  • 生の小イワシ(マイワシ)本格度: -10 pts

    脂が強く魚の風味が濃くなり、繊細さより力強さが前に出る。

    工程7:身が厚いため鍋を揺すりながらの加熱を30秒延ばし、1分30秒〜2分にする。

  • 冷凍カタクチイワシ(解凍)本格度: -10 pts

    身が水っぽく崩れやすく、原形を保ちにくいが風味自体はほぼ同等。

    工程1:冷蔵庫で解凍し、氷水ですすぐ前にキッチンペーパーで水気を十分に押さえてから開く。/開いた身は氷水で洗わず、キッチンペーパーで拭くだけにする。

  • オイル漬けアンチョビフィレ本格度: -35 pts

    生の甘みが完全に失われ、塩気と発酵香だけの別種のソースになる。

    工程1・2・5・7・8:量を60gに減らし、手開きと塩締めの工程を省く。/にんにくを取り出したオイルの中で弱火のまま木べらで押し崩し、ペースト状に溶かす。/白ワインは溶かしたあとに加え、40〜50秒煮立てる。/仕上げの細塩1gを加えない。

固くなった田舎パンPane casereccio raffermo

  • 市販の細目パン粉(乾燥)80g本格度: -5 pts

    粒が揃いすぎて食感の粗さが失われ、軽い口当たりになる。

    工程3・4:フードプロセッサーで挽く工程を省き、80gをそのまま使う。/焦げやすいので炒め時間を4〜5分に短縮する。

  • パン粉(乾燥・粗目)80g本格度: -10 pts

    軽くサクサクしすぎてオイルを吸ったコクが出にくい。

    工程3・4:フードプロセッサーで挽く工程を省き、手で軽く砕いて80gを用意する。/油を吸いやすいので炒め時間を4〜5分に短縮する。

エキストラバージンオリーブオイルOlio extravergine d'oliva

  • ピュアオリーブオイル本格度: -10 pts

    青々とした苦味と香りが消え、ソース全体が平坦になる。

にんにくAglio

  • 乾燥ガーリックスライス本格度: -20 pts

    生の甘い香りが出ず、焦げた乾いた香りになる。

    工程4・5:油に入れる直前に水で軽く戻し、水気を拭いてから使う。/焦げやすいので油に入れてからの加熱を1分30秒に短縮する。

赤唐辛子(乾燥)Peperoncino secco

  • 一味唐辛子本格度: -5 pts

    辛味が均一に回るが、油に移る香ばしい香りが弱まる。

    工程5:唐辛子は最初から入れず、にんにくを取り出した直後の油に小さじ1/3を加え、10秒揺すってすぐ火を止める。

辛口白ワインVino bianco secco

  • 水+白ワインビネガー小さじ1/2本格度: -10 pts

    ワインの果実味が抜け、酸だけが立った軽い風味になる。

    工程7:水30mlに白ワインビネガー小さじ1/2を混ぜて加え、30秒だけ煮立てて酸を飛ばす。

コラトゥーラ・ディ・アリーチ(イワシの魚醤)Colatura di alici

  • ナンプラー本格度: -10 pts

    甘みと発酵香が強く、南イタリアらしい澄んだ塩味からやや東南アジア寄りになる。

    工程7・8:量を7mlに減らして火を止めてから加える。/仕上げの細塩1gは加えない。

  • 塩漬けアンチョビペースト小さじ1本格度: -20 pts

    旨味は残るが液体でないためソースの伸びが鈍くなる。

    工程6・7・8:取り置いた茹で汁のうち15mlで溶きのばしてから、火を止めたフライパンに加える。/マンテカトゥーラで使う茹で汁は最初に105mlとし、残り80mlを40mlずつ足す。

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