AUTHENTIC RECIPE

Risotto alla Pilotaリゾット・アッラ・ピロータ

合計
49分
難易度
★★★☆☆
分量
4人分
  • 準備 15分
  • 調理 34分
Risotto alla Pilota(リゾット・アッラ・ピロータ)
難易度★★★☆☆ 準備15分 調理34分 分量4人分 地方北イタリア・マントヴァ

マントヴァのリゾット。かき混ぜて澱粉を引き出すミラノ式とは逆に、塩水で炊いた米を布と蓋で蒸らし、一粒ずつほどける「sgranato(ズグラナート)」に仕上げる。崩して焼いたサラメッラ(マントヴァの生ソーセージ)を、肉汁と脂ごと合わせる。

マントヴァで受け継がれてきた作り方を基準にした本格レシピです。分量と時間だけでなく、次の工程へ進む目安となる状態も書いています。

100 / 100

AUTHENTICITY SCORE

本格度スコア

このスコアは、標準レシピの食材と手順で作った場合の値です。代わりに使える食材を選ぶと、味・食感・工程への影響とあわせてスコアが変わります。

材料(4人分)

100本格度
4

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作り方

1約10分

米・脂・蒸らし道具の下準備

  • 1 ヴィアローネ・ナーノ米360gを目の粗いふるいに移し、ボウルの上で20〜30秒ふるって糠と砕米を落とす(水では洗わない)。
  • 2 バター60gを、仕上げ用40gと肉焼き用20gに切り分ける。仕上げ用40gは1cm角に切り、使う直前まで冷蔵庫で冷やしておく。
  • 3 グラーナ・パダーノ80gをおろし金でおろし、60g(混ぜ込み用)と20g(卓上用)に分けておく。
  • 4 厚手で底の平らな鍋(直径22〜24cm、蓋付き)と、崩し焼き用のフライパン(直径24〜26cm)を並べて用意する。
  • 5 清潔な綿の布巾1枚を、鍋の口を覆える大きさにたたんで作業台に置く。

完了の目安

米・切り分けたバター・おろしたグラーナ・厚手鍋・フライパン・布巾がすべて手元に揃っていれば次へ進む。

注意点

米を水で洗うと表面の澱粉と香りが流れ、吸水加熱の水量計算が狂う。

補足

ヴィアローネ・ナーノは吸水が速く粒が丸いため、混ぜずに炊いても芯まで火が入り、粒が一つずつほどける「sgranato」になる。

布巾は蒸らしの際に蓋の内側の水滴が米に落ちるのを防ぐためのもので、現地の作法では必須とされる。

2約5分

サラメッラを腸から出して崩す(pistùm の下ごしらえ)

  • 1 サラメッラ350gの腸詰めを包丁の先で縦に裂き、皮を捨てて中身だけをボウルに取り出す。
  • 2 指で1〜1.5cm大の粗いそぼろ状に崩し、フライパンの脇に置いて焼き始めるまで待つ。

完了の目安

肉が全量ボウルに出て、1〜1.5cm大の粒に分かれていれば下ごしらえ完了。

注意点

細かく崩しすぎるとひき肉状になり、粒感のある現地の食感から離れる。

補足

マントヴァではこの崩した生の腸詰めの中身を pistùm と呼び、サラメッラ自体に塩・胡椒・にんにくが練り込まれているため、ここで香味を足さないのが厳格な作法。

3約12分

塩水に米を円錐形に落として吸水加熱する

  • 1 並行(米の加熱10〜12分の間に)別のフライパンにラード20gとバター20gを入れ、中火で完全に溶かす。
  • 2 並行(米の加熱の間に)崩したサラメッラ350gを溶けた脂に広げ入れ、木べらで押しつぶしながら中火で焼き始め、2分おきに全体を返す。
  • 3 厚手の鍋に水540mlと粗塩5gを入れ、蓋をして強火にかけて沸騰させる。
  • 4 沸騰したら火を強めの中火に落とし、米360gを鍋の中央一点にゆっくり注ぎ落として、水面から頂点がわずかに覗く円錐形の山に積む。
  • 5 木べらの背で山の頂だけを軽くならし、米全体が水面下に沈むように整える。これ以降は一切かき混ぜない。
  • 6 蓋をして、水面が静かに沸き立つ強めの中火で10〜12分加熱する。8分経過時に一度だけ蓋を開けて水位を確認し、すぐ蓋を戻す。

完了の目安

水面の泡が消え、米の表面に細かい蒸気穴が点々と現れ、木べらの先で鍋の縁を一か所そっとなぞっても自由な水が溜まってこなければ加熱完了。

注意点

かき混ぜると澱粉が溶け出して粘りが生まれ、狙いの粒立ちが失われる。

蓋を何度も開けると蒸気が逃げ、米の上層に芯が残る。

底から焦げ臭が上がったら時間を待たず即座に火を止める。

肉を強火で焼くと固く縮み、脂が溶け出す前に表面だけ焦げる。

補足

水は米の重量の約1.5倍=米の容量とほぼ同量に少し足した量で、追加のはしない「吸水法」。この水量が仕上がりの粒立ちを一義的に決める。

米を一点に落として山にするのは、鍋底全面に米が触れて局所的に焦げるのを防ぐ精米所職人の作法。

サラメッラの塩気とグラーナ60gが後から加わるため、炊き水の塩は0.9%相当の5gに抑える。塩気の強い銘柄のサラメッラを使うときは4gにする。

4約15分

布と蓋で15分蒸らし、その間にサラメッラを焼き上げる

  • 1 並行(蒸らしの15分の間に)サラメッラを合計8〜10分になるまで中火で焼き続け、脂が透明に溶け出して肉の粒に薄い焼き色がつくまで木べらで返す。
  • 2 並行(蒸らしの間に)辛口白ワイン60mlをから回し入れ、木べらで鍋底の焦げをこそげながら中火で1〜2分、液面が半分になるまで煮立てる。
  • 3 並行(蒸らしの間に)フライパンの火を止め、蓋をせずコンロの脇に置いて温かいまま保つ。
  • 4 並行(蒸らしの間に)盛り付け用の皿4枚を60℃程度のか低温のオーブンで温めておく。
  • 5 米の鍋の火を止め、鍋を火から下ろす。
  • 6 鍋の口全体に清潔な布巾を1枚かぶせ、その上から蓋をして、はみ出た布の端を蓋の上に折り上げる。
  • 7 そのまま15分間、蓋も布も一切触らずに置く。

完了の目安

15分が経過し、蓋を開けたとき米粒が立ち、鍋底に水気が残っていなければ蒸らし完了。

フライパンのワインの酸の立った匂いが消えて肉の香りに変わり、底に肉汁と溶けた脂がとろりとした層で残っていれば肉も完了。

注意点

酒類には絶対に着火しない。煮立ててアルコール分を飛ばす。

米の蒸らし中に蓋を開けると蒸気が抜け、上層の米に芯が残る。

布巾の端を火のついたコンロの上に垂らさない。

肉を焼き上げたあと再加熱を繰り返すと脂が酸化して肉が締まるので、蒸らし終わりに合わせて焼き上げる。

補足

布巾が蓋裏の水滴を吸うため、米の表面がべたつかず粒の輪郭が残る。

フライパンに残る脂と肉汁がこのリゾットの唯一のソースなので、水や湯を足して薄めない。

5約4分

肉汁・バター・グラーナを合わせる

  • 1 蓋と布巾を外し、冷やしておいたバター40gの角切りを米の表面全体に散らす。
  • 2 温かいサラメッラを、フライパンに残った脂と肉汁ごと全量、米の上に流し入れる。
  • 3 おろしたグラーナ・パダーノ60gを全体に振りかける。
  • 4 木べらを鍋底まで差し込み、下からすくい上げて返す動きで8〜10回だけ、切るように大きく混ぜる。円を描いて練らない。

完了の目安

バターが完全に溶けて米粒が脂の膜で艶を帯び、粒が一つずつほどけて見えれば混ぜ終わり。

小さじ1杯すくって味を見たとき、塩気が脂とチーズで丸くまとまって感じられれば次へ進む。

注意点

円を描いて練り混ぜると澱粉が出て粘り、ミラノ式の質感になってしまう。

バターが常温だと一気に溶けて米に染み込みすぎ、艶が出ない。

補足

撹拌による(バターやチーズでさせる仕上げ)ではなく、脂とチーズを絡めるだけなのがピロータ式の要。

塩が足りなく感じても塩は足さず、卓上のグラーナで各自が補うのが現地の流儀。

6約3分

盛り付け

  • 1 温めた皿4枚に、木べらですくって高さを出しながら1人分ずつ盛る。
  • 2 黒こしょう粒1gをミルで挽き、4皿の表面に均等に挽きかける。
  • 3 残しておいたグラーナ・パダーノ20gを小皿に入れ、卓上に添えて供す。

完了の目安

盛り付けた米が崩れずに山の形を保ち、湯気が立っていれば完成。

注意点

冷たい皿に盛るとバターが固まり、粒同士が固着する。

補足

マントヴァでは熱いうちに供し、各自が卓上のグラーナを足して食べる。

現地では炭火で焼いた骨付き豚あばら肉やブラチョーラを一本添え、それを手で持って米にひたしながら食べる「puntel(つっかえ棒)」という食べ方をする。ピロータ式は皿の上でこの一皿完結の食事になる。

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マントヴァ/ロンバルディアの街並み・風景
Mantova, Lombardiaイタリアの風景 · マントヴァ/ロンバルディア 写真:Zairon · CC BY-SA 4.0(リサイズ・表示トリミング)

この料理について

マントヴァ周辺のポー川流域は、米作で知られる土地です。精米所の仕事場の食事として伝わるリゾット・アッラ・ピロータには、米と一緒に土地の豚肉加工品も使われ、マントヴァでは郷土料理に数えられています。

代わりに使える食材

ヴィアローネ・ナーノ米Riso Vialone Nano

  • カルナローリ米本格度: -10 pts

    粒が長く芯が強いため、ほろほろ感がやや減り歯応えが立つ。

    工程3・4:吸水量が多いので水を570mlに増やす。/吸水加熱を13〜14分に延ばす。/蒸らしを18分に延長する。

  • アルボリオ米本格度: -20 pts

    澱粉が多く粒同士がくっつきやすく、狙いの「そぐらなーと」より粘りが出る。

    工程3・4・5:水を500mlに減らす。/蒸らしは15分のまま、蓋と布巾を外した直後、バターを散らす前にフォークで縦に切るように粒をほぐす。

  • 日本米(洗わずに使う)本格度: -20 pts

    粘りが強く粒の立ちが弱いため、とろりとした仕上がりになる。味は穏やか。

    食感:芯の歯ごたえが出にくく、全体が柔らかくまとまる。

    米は洗わない/温かいブロードを少量ずつ加え、芯の歯ごたえととろみで仕上がりを判断する

  • 日本の短粒米(うるち米)本格度: -35 pts

    粘りが強く炊き込みご飯に近い食感になり、粒の独立感が失われる。

    工程1・3:米は2回だけ手早く水にくぐらせて表面の糠を落とす。/水を430mlに減らし、沸騰後の加熱を8分にする。

水Acqua

  • 薄い肉のブロード本格度: -10 pts

    旨みが増す一方で、ソーセージの脂と米の甘みだけで構成する素朴な輪郭がぼやける。

    工程3:ブロードに塩気がある場合、加える粗塩を2gに減らす。

サラメッラ(マントヴァの生ソーセージ)Salamella mantovana

  • ルガーネガ(生ソーセージ)本格度: -5 pts

    にんにくと胡椒の効きがやや穏やかになるが、脂と塩気の質はほぼ同等。

  • 味付けなしの粗挽き豚ソーセージ本格度: -10 pts

    香辛料の複雑さが減り、単調な豚肉の甘さが前に出る。

    工程2:崩した肉に黒こしょう0.5gと塩1gを追加して下味を補う。

  • 豚粗挽き肉+豚背脂本格度: -20 pts

    熟成香と塩の丸みがなく、肉汁の濃度が浅くなる。

    工程2:豚粗挽き肉300gに刻んだ背脂50g、塩4g、黒こしょう1g、すりおろしにんにく2gを混ぜ、30分冷蔵して馴染ませてから崩し焼きにする。

グラーナ・パダーノ(すりおろし)Grana Padano DOP grattugiato

  • パルミジャーノ・レッジャーノ本格度: -5 pts

    塩味と旨みがより鋭く、素朴な甘みがやや後退する。

  • ペコリーノ・ロマーノ本格度: -35 pts

    羊乳の強い塩気と酸が支配し、豚の脂の甘さと衝突する。

    工程3・5:塩気が強いため、炊き水に加える粗塩を3gに減らす。

ラード(豚脂)Strutto

  • バター本格度: -5 pts

    乳の香りが加わり、豚脂特有の力強さがやや和らぐ。

    工程3・4:焦げやすいため、肉を焼く火加減を中火より弱めに保つ。

  • エキストラバージンオリーブオイル本格度: -20 pts

    青い香りが混じり、マントヴァ平野の豚脂主体のこってりした味の芯が抜ける。

辛口白ワインVino bianco secco

  • ランブルスコ(辛口・赤)本格度: -10 pts

    色がわずかに付き、タンニンで肉の風味がより濃厚になる。

  • 水+白ワインビネガー小さじ1本格度: -20 pts

    果実味の甘い余韻がなく、酸だけが立って肉の香りが平板になる。

    工程4:水55mlと白ワインビネガー5mlを合わせて加え、鍋底をこそげながら30秒煮立てる。

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