AUTHENTIC RECIPE

Risotto alla Pilotaリゾット・アッラ・ピロータ

Risotto alla Pilota(リゾット・アッラ・ピロータ)
難易度★★★☆☆ 準備15分 調理34分 分量4人分 地方北イタリア・マントヴァ

精米所の職人(piloti)が賄いとして作った、混ぜないリゾット。沸かした塩水の中央に米を円錐形に落として吸水加熱し、火を止めて布と蓋で15分蒸らすことで、一粒ずつが独立してほろりとほどける「sgranato(そぐらなーと)」の状態に仕上げる。撹拌して澱粉を引き出すミラノ式とは正反対の技法で、米の加熱と蒸らしの間に別のフライパンで崩し焼きにしたサラメッラ(マントヴァの生ソーセージ)の肉汁と脂を、蒸らし上がりの米にバターとグラーナで合わせるのが要。

本場北イタリアで受け継がれてきた作り方を基準にした本格レシピを、仕上がりを左右する判断点まで省略せずに紹介します。

100 / 100

AUTHENTICITY SCORE

本格度スコア

標準レシピの食材と手順です。代替食材を選ぶと、味・食感・工程への影響とともにスコアが変わります。

材料(4人分)

4
  • ヴィアローネ・ナーノ米360g洗わずにそのまま使う。ふるいにかけて糠と砕米を落としておく
  • 540ml米の吸水加熱用。厚手の鍋で沸かす
  • サラメッラ(マントヴァの生ソーセージ)350g腸詰めの皮を裂いて中身だけを取り出し、指で粗く崩す(pistùm)
  • グラーナ・パダーノ(すりおろし)80g仕上げに使う直前におろす。60gを混ぜ込み用、20gを卓上用に分ける
  • バター60g40gは仕上げ用に冷蔵庫で冷やしたまま角切り、20gは肉を焼く用
  • ラード(豚脂)20gサラメッラを崩し焼きにする際の脂
  • 辛口白ワイン60mlサラメッラの脂と鍋底の焦げを煮溶かす用。常温に戻しておく
  • 粗塩5g米を炊く水に溶かす(水540mlに対し約0.9%)
  • 黒胡椒(粒)1g仕上げに挽きたてを使う

作り方

1約10分

米・脂・蒸らし道具の下準備

  • 1 ヴィアローネ・ナーノ米360gを目の粗いふるいに移し、ボウルの上で20〜30秒ふるって糠と砕米を落とす(水では洗わない)。
  • 2 バター60gを、仕上げ用40gと肉焼き用20gに切り分ける。仕上げ用40gは1cm角に切り、使う直前まで冷蔵庫で冷やしておく。
  • 3 グラーナ・パダーノ80gをおろし金でおろし、60g(混ぜ込み用)と20g(卓上用)に分けておく。
  • 4 厚手で底の平らな鍋(直径22〜24cm、蓋付き)と、崩し焼き用のフライパン(直径24〜26cm)を並べて用意する。
  • 5 清潔な綿の布巾1枚を、鍋の口を覆える大きさにたたんで作業台に置く。

完了の目安

米・切り分けたバター・おろしたグラーナ・厚手鍋・フライパン・布巾がすべて手元に揃っていれば次へ進む。

注意点

米を水で洗うと表面の澱粉と香りが流れ、吸水加熱の水量計算が狂う。

補足

ヴィアローネ・ナーノは吸水が速く粒が丸いため、混ぜずに炊いても芯まで火が入り、粒が一つずつほどける「sgranato」になる。

布巾は蒸らしの際に蓋の内側の水滴が米に落ちるのを防ぐためのもので、現地の作法では必須とされる。

2約5分

サラメッラを腸から出して崩す(pistùm の下ごしらえ)

  • 1 サラメッラ350gの腸詰めを包丁の先で縦に裂き、皮を捨てて中身だけをボウルに取り出す。
  • 2 指で1〜1.5cm大の粗いそぼろ状に崩し、フライパンの脇に置いて焼き始めるまで待つ。

完了の目安

肉が全量ボウルに出て、1〜1.5cm大の粒に分かれていれば下ごしらえ完了。

注意点

細かく崩しすぎるとひき肉状になり、粒感のある現地の食感から離れる。

補足

マントヴァではこの崩した生の腸詰めの中身を pistùm と呼び、サラメッラ自体に塩・胡椒・にんにくが練り込まれているため、ここで香味を足さないのが厳格な作法。

3約12分

塩水に米を円錐形に落として吸水加熱する

  • 1 並行(米の加熱10〜12分の間に)別のフライパンにラード20gとバター20gを入れ、中火で完全に溶かす。
  • 2 並行(米の加熱の間に)崩したサラメッラ350gを溶けた脂に広げ入れ、木べらで押しつぶしながら中火で焼き始め、2分おきに全体を返す。
  • 3 厚手の鍋に水540mlと粗塩5gを入れ、蓋をして強火にかけて沸騰させる。
  • 4 沸騰したら火を強めの中火に落とし、米360gを鍋の中央一点にゆっくり注ぎ落として、水面から頂点がわずかに覗く円錐形の山に積む。
  • 5 木べらの背で山の頂だけを軽くならし、米全体が水面下に沈むように整える。これ以降は一切かき混ぜない。
  • 6 蓋をして、水面が静かに沸き立つ強めの中火で10〜12分加熱する。8分経過時に一度だけ蓋を開けて水位を確認し、すぐ蓋を戻す。

完了の目安

水面の泡が消え、米の表面に細かい蒸気穴が点々と現れ、木べらの先で鍋の縁を一か所そっとなぞっても自由な水が溜まってこなければ加熱完了。

注意点

かき混ぜると澱粉が溶け出して粘りが生まれ、狙いの粒立ちが失われる。

蓋を何度も開けると蒸気が逃げ、米の上層に芯が残る。

底から焦げ臭が上がったら時間を待たず即座に火を止める。

肉を強火で焼くと固く縮み、脂が溶け出す前に表面だけ焦げる。

補足

水は米の重量の約1.5倍=米の容量とほぼ同量に少し足した量で、追加の差し水はしない「吸水法」。この水量が仕上がりの粒立ちを一義的に決める。

米を一点に落として山にするのは、鍋底全面に米が触れて局所的に焦げるのを防ぐ精米所職人の作法。

サラメッラの塩気とグラーナ60gが後から加わるため、炊き水の塩は0.9%相当の5gに抑える。塩気の強い銘柄のサラメッラを使うときは4gにする。

4約15分

布と蓋で15分蒸らし、その間にサラメッラを焼き上げる

  • 1 並行(蒸らしの15分の間に)サラメッラを合計8〜10分になるまで中火で焼き続け、脂が透明に溶け出して肉の粒に薄い焼き色がつくまで木べらで返す。
  • 2 並行(蒸らしの間に)辛口白ワイン60mlを鍋肌から回し入れ、木べらで鍋底の焦げをこそげながら中火で1〜2分、液面が半分になるまで煮立てる。
  • 3 並行(蒸らしの間に)フライパンの火を止め、蓋をせずコンロの脇に置いて温かいまま保つ。
  • 4 並行(蒸らしの間に)盛り付け用の皿4枚を60℃程度の湯煎か低温のオーブンで温めておく。
  • 5 米の鍋の火を止め、鍋を火から下ろす。
  • 6 鍋の口全体に清潔な布巾を1枚かぶせ、その上から蓋をして、はみ出た布の端を蓋の上に折り上げる。
  • 7 そのまま15分間、蓋も布も一切触らずに置く。

完了の目安

15分が経過し、蓋を開けたとき米粒が立ち、鍋底に水気が残っていなければ蒸らし完了。

フライパンのワインの酸の立った匂いが消えて肉の香りに変わり、底に肉汁と溶けた脂がとろりとした層で残っていれば肉も完了。

注意点

酒類には絶対に着火しない。煮立ててアルコール分を飛ばす。

米の蒸らし中に蓋を開けると蒸気が抜け、上層の米に芯が残る。

布巾の端を火のついたコンロの上に垂らさない。

肉を焼き上げたあと再加熱を繰り返すと脂が酸化して肉が締まるので、蒸らし終わりに合わせて焼き上げる。

補足

布巾が蓋裏の水滴を吸うため、米の表面がべたつかず粒の輪郭が残る。

フライパンに残る脂と肉汁がこのリゾットの唯一のソースなので、水や湯を足して薄めない。

5約4分

肉汁・バター・グラーナを合わせる

  • 1 蓋と布巾を外し、冷やしておいたバター40gの角切りを米の表面全体に散らす。
  • 2 温かいサラメッラを、フライパンに残った脂と肉汁ごと全量、米の上に流し入れる。
  • 3 おろしたグラーナ・パダーノ60gを全体に振りかける。
  • 4 木べらを鍋底まで差し込み、下からすくい上げて返す動きで8〜10回だけ、切るように大きく混ぜる。円を描いて練らない。

完了の目安

バターが完全に溶けて米粒が脂の膜で艶を帯び、粒が一つずつほどけて見えれば混ぜ終わり。

小さじ1杯すくって味を見たとき、塩気が脂とチーズで丸くまとまって感じられれば次へ進む。

注意点

円を描いて練り混ぜると澱粉が出て粘り、ミラノ式の質感になってしまう。

バターが常温だと一気に溶けて米に染み込みすぎ、艶が出ない。

補足

撹拌によるマンテカトゥーラではなく、脂とチーズを絡めるだけなのがピロータ式の要。

塩が足りなく感じても塩は足さず、卓上のグラーナで各自が補うのが現地の流儀。

6約3分

盛り付け

  • 1 温めた皿4枚に、木べらですくって高さを出しながら1人分ずつ盛る。
  • 2 黒胡椒粒1gをミルで挽き、4皿の表面に均等に挽きかける。
  • 3 残しておいたグラーナ・パダーノ20gを小皿に入れ、卓上に添えて供す。

完了の目安

盛り付けた米が崩れずに山の形を保ち、湯気が立っていれば完成。

注意点

冷たい皿に盛るとバターが固まり、粒同士が固着する。

補足

マントヴァでは熱いうちに供し、各自が卓上のグラーナを足して食べる。

現地では炭火で焼いた骨付き豚あばら肉やブラチョーラを一本添え、それを手で持って米にひたしながら食べる「puntel(つっかえ棒)」という食べ方をする。ピロータ式は皿の上でこの一皿完結の食事になる。

INGREDIENT OPTIONS

手に入る食材で、本格の輪郭を保つ

リゾット・アッラ・ピロータは、次の食材でも作れます。味や食感、手順への影響を確認して選んでください。

ヴィアローネ・ナーノ米の代わりに

日本の短粒米(うるち米)

代わりに使える食材 · 本格度 -35点

粘りが強く炊き込みご飯に近い食感になり、粒の独立感が失われる。

米は2回だけ手早く水にくぐらせて表面の糠を落とす。

水を430mlに減らし、沸騰後の加熱を8分にする。

ヴィアローネ・ナーノ米の代わりに

アルボリオ米

代わりに使える食材 · 本格度 -20点

澱粉が多く粒同士がくっつきやすく、狙いの「そぐらなーと」より粘りが出る。

水を500mlに減らす。

蒸らしは15分のまま、蓋と布巾を外した直後、バターを散らす前にフォークで縦に切るように粒をほぐす。

ヴィアローネ・ナーノ米の代わりに

カルナローリ米

代わりに使える食材 · 本格度 -10点

粒が長く芯が強いため、ほろほろ感がやや減り歯応えが立つ。

吸水量が多いので水を570mlに増やす。

吸水加熱を13〜14分に延ばす。

蒸らしを18分に延長する。

水の代わりに

薄い肉のブロード

代わりに使える食材 · 本格度 -10点

旨みが増す一方で、ソーセージの脂と米の甘みだけで構成する素朴な輪郭がぼやける。

ブロードに塩気がある場合、加える粗塩を2gに減らす。

サラメッラ(マントヴァの生ソーセージ)の代わりに

ルガーネガ(生ソーセージ)

代わりに使える食材 · 本格度 -5点

にんにくと胡椒の効きがやや穏やかになるが、脂と塩気の質はほぼ同等。

サラメッラ(マントヴァの生ソーセージ)の代わりに

味付けなしの粗挽き豚ソーセージ

代わりに使える食材 · 本格度 -10点

香辛料の複雑さが減り、単調な豚肉の甘さが前に出る。

崩した肉に黒胡椒0.5gと塩1gを追加して下味を補う。

サラメッラ(マントヴァの生ソーセージ)の代わりに

豚粗挽き肉+豚背脂

代わりに使える食材 · 本格度 -20点

熟成香と塩の丸みがなく、肉汁の濃度が浅くなる。

豚粗挽き肉300gに刻んだ背脂50g、塩4g、黒胡椒1g、すりおろしにんにく2gを混ぜ、30分冷蔵して馴染ませてから崩し焼きにする。

グラーナ・パダーノ(すりおろし)の代わりに

パルミジャーノ・レッジャーノ

代わりに使える食材 · 本格度 -5点

塩味と旨みがより鋭く、素朴な甘みがやや後退する。

グラーナ・パダーノ(すりおろし)の代わりに

ペコリーノ・ロマーノ

代わりに使える食材 · 本格度 -35点

羊乳の強い塩気と酸が支配し、豚の脂の甘さと衝突する。

塩気が強いため、炊き水に加える粗塩を3gに減らす。

ラード(豚脂)の代わりに

エクストラヴァージンオリーブオイル

代わりに使える食材 · 本格度 -20点

青い香りが混じり、マントヴァ平野の豚脂主体のこってりした味の芯が抜ける。

ラード(豚脂)の代わりに

バター

代わりに使える食材 · 本格度 -5点

乳の香りが加わり、豚脂特有の力強さがやや和らぐ。

焦げやすいため、肉を焼く火加減を中火より弱めに保つ。

辛口白ワインの代わりに

ランブルスコ(辛口・赤)

代わりに使える食材 · 本格度 -10点

色がわずかに付き、タンニンで肉の風味がより濃厚になる。

辛口白ワインの代わりに

水+白ワインビネガー小さじ1

代わりに使える食材 · 本格度 -20点

果実味の甘い余韻がなく、酸だけが立って肉の香りが平板になる。

水55mlと白ワインビネガー5mlを合わせて加え、鍋底をこそげながら30秒煮立てる。

この料理について

マントヴァ周辺のポー川流域は、イタリア有数の米作地帯です。ピロータとは、その精米所で働いていた職人を指す言葉でした。

リゾット・アッラ・ピロータは、彼らが仕事場で作っていた米料理です。他のリゾットのようにブロードを少しずつ足して混ぜ続けるのではなく、米と同量に近い水で炊き、火を止めて蒸らします。米粒どうしがくっつかず、一粒ずつ立った状態に仕上がるのがこの作り方の特徴です。合わせるのは、この土地のサラミであるサルサミンタを崩したものです。

現在もマントヴァ県のトラットリアでは、伝統的な米料理として品書きに残っています。同じ州のミラノ風リゾットとは、同じ「リゾット」の名を持ちながら、まったく別の食感を持つ料理です。

QUESTIONS

よくある質問

リゾット・アッラ・ピロータに日本の短粒米(うるち米)を使ってもいいですか?

作れますが、ヴィアローネ・ナーノ米を日本の短粒米(うるち米)に替えると本格度が35点下がります。粘りが強く炊き込みご飯に近い食感になり、粒の独立感が失われる。米は2回だけ手早く水にくぐらせて表面の糠を落とす。

リゾット・アッラ・ピロータにペコリーノ・ロマーノを使ってもいいですか?

作れますが、グラーナ・パダーノ(すりおろし)をペコリーノ・ロマーノに替えると本格度が35点下がります。羊乳の強い塩気と酸が支配し、豚の脂の甘さと衝突する。塩気が強いため、炊き水に加える粗塩を3gに減らす。

リゾット・アッラ・ピロータにアルボリオ米を使ってもいいですか?

作れますが、ヴィアローネ・ナーノ米をアルボリオ米に替えると本格度が20点下がります。澱粉が多く粒同士がくっつきやすく、狙いの「そぐらなーと」より粘りが出る。水を500mlに減らす。

リゾット・アッラ・ピロータを失敗せずに作るコツはありますか?

つまずきやすいのは次の点です。米を水で洗うと表面の澱粉と香りが流れ、吸水加熱の水量計算が狂う。細かく崩しすぎるとひき肉状になり、粒感のある現地の食感から離れる。かき混ぜると澱粉が溶け出して粘りが生まれ、狙いの粒立ちが失われる。

リゾット・アッラ・ピロータを作るのにどれくらい時間がかかりますか?

4人分で合計49分です(準備15分・調理34分)。

リゾット・アッラ・ピロータは家庭で作るのが難しいですか?

難易度は5段階中3です。全6工程のうち仕上がりを左右するのは「塩水に米を円錐形に落として吸水加熱する」「布と蓋で15分蒸らし、その間にサラメッラを焼き上げる」で、各工程に見極めの目安と注意点を明記しています。

READER REVIEWS

ユーザーレビュー

まだ評価が届いていません。最初のレビューを投稿してみませんか。

この料理を作った感想を教えてください

評価の公開には軽量なメール確認とモデレーション承認が必要です。メールアドレスは公開されません。

Chef Authen

次の週末は、コース料理を家で。

すべての皿が、いちばんおいしい瞬間に。

作りたい料理を選んだら、買い物も当日の段取りもChef Authenにおまかせ。タベリアのアプリが、前菜からメインまで、あなたのキッチンでひとつのコースに仕上げます。

  • 買い物をひとつに献立と代替後の材料から、チェックできる買い物リストを自動作成
  • 段取りをひとつに待ち時間や火入れを組み合わせ、全料理の工程を一本のタイムラインに
  • レシピの先まで、答える火加減の見極めもアレンジの相談も、調理中の疑問にChef Authenが具体的な判断基準で回答
Download on the App Store

CHOOSE AN INGREDIENT

代替食材を選ぶ