食材・道具 · イタリア料理

犬の鼻、人の手。イタリアの森で出会うトリュフ採り

イタリアの旅でトリュフに出会うなら、皿の上に削りかけられる、その少し前の時間にも目を向けてみたくなります。舞台は、採り手と犬が歩く森です。地面を見渡しても、探しているものは土の下に隠れています。そこで頼りになるのが、訓練によってトリュフの香りを覚えた犬の鼻。イタリアのトリュフ採りでは、なぜ犬と人が組んで森を歩くのでしょうか。

公開 · 更新 · 読了目安 3分

フランス・ビュジェで撮影された白い犬と、採り手が手に持つトリュフ

訓練した犬が地中のトリュフを探し、犬との関係に加えて気候や植生、生態系の知識を受け継いだ採り手が、専用の道具で土の状態をできるだけ乱さずに掘り出すためです。犬が見つけ、人が採る。その役割を知ると、森での一歩一歩にも目を凝らしたくなります。

土の下の香りを、犬が探します

トリュフは、地中で育つきのこの仲間です。食べる部分は胞子を含む「子実体」で、土の中にあるため、地上に傘を広げるきのこのようには見つけられません。成熟すると強い香りを放ち、その香りに昆虫や哺乳類が引き寄せられます。トリュフを食べた動物が胞子を運ぶことも、地中で暮らすこの菌の命のつながりを支えています。

林床を背景に、手のひらに載せた黒いトリュフ
イタリアのモントーネで撮影されたトリュフ。手のひらの上に、凹凸のある表面が見える。 写真: picdrops, Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

採り手は、その香りを探す仕事を犬に教えます。犬は嗅覚を使ってトリュフのありかを絞り込み、採り手は犬の反応を見ながら探索を進めます。森を広く掘り返して探すのではなく、犬が見つけた場所に人の手を入れるという順序です。犬の鼻が働く場面と、人が道具を使う場面が続くところに、この仕事ならではの息の合い方があります。

掘り出す手は、森の土にも気を配ります

トリュフの菌は、特定の樹木や低木の根と共生しています。木から栄養を受け取り、木には水やミネラルを渡す関係です。足もとには、目に見えるトリュフだけでなく、菌糸や木の根も広がっています。トリュフが育つ場所を考えるときは、土と、その土に根を張る植物を一緒に見ることになります。

犬が場所を知らせたら、採り手の出番です。「ヴァンゲット」や「ザッピーノ」と呼ばれる専用の小さな掘削道具を使い、土の状態をなるべく乱さないようにトリュフを取り出します。探す力に加え、掘り出す技術も欠かせません。土の下で木と菌が暮らす環境に配慮することが、季節ごとにトリュフが育つ森を保つことにつながります。

犬との歩き方も、森の読み方も受け継ぎます

イタリアで「タルトゥファイ」と呼ばれる採り手たちは、犬の訓練とともに、気候、雨の降り方、植生、地形や土についての知識を受け継いできました。どのような環境にトリュフが育つかを知り、その場所へ犬と向かいます。犬が鼻を働かせるまでにも、採り手が土地を見て判断する時間があるのです。

こうした知識は、何世紀にもわたって口伝えで伝わってきました。年長の採り手の動きを見てまねることに加え、土地の物語や逸話、言い回しにも、トリュフ採りの文化が残っています。採取期の始まりや終わりを祝う祭りもあり、森の仕事は村の暮らしや食卓と結びついています。

旅先でこの仕事を間近に見るなら、ピエモンテのランゲ、ロエロ、モンフェッラートなどでは、採り手と犬に同行する体験が用意されています。参加するときは、犬が何に反応するか、採り手がいつ手を伸ばすかに注目してみてください。土の下の香りを見つける鼻と、森の状態に気を配る手。その両方を見たあとでは、食卓で出会うトリュフの香りにも、犬と人が歩いた森を思い浮かべられそうです。

赤い屋根の家々と、その周囲に広がる畑や林
イタリアのサーレ・デッレ・ランゲ。集落を囲む畑と林を見渡す。 写真: Marco Plassio, Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

出典

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