よくある誤解 · フランス料理

フランスの美食を訪ねて、大切な人と囲む食卓へ

フランスの美食が無形文化遺産になったとき、登録されたのはどんな料理だったのでしょうか。手の込んだソースを添えた肉料理や、美しく仕上げたデザートを思い浮かべるかもしれません。けれども、その答えを探す旅では、皿の上だけでなく、向かいに座る人にも目を向けてみてください。

公開 · 更新 · 読了目安 3分

リヨンのレストランに整えられた食卓

2010年に登録された「フランス人の美食術」は、誕生日や結婚、再会など人生の節目に家族や友人が集まり、料理と食材を選び、ワインを合わせ、食卓を整えて順に料理を楽しみながら、互いのつながりを深める食事の習慣です。

祝いの食事は、献立を考えるところから

久しぶりに会う家族を、どんな料理で迎えましょうか。季節の食材を前に、集まる人の好みや、その日に祝うことを思い浮かべてみます。この習慣では、食べる前の準備から、人と一緒に過ごす時間を大切にします。料理を選び、互いの味が調和する良質な食材を買い求め、できれば地元のものを使います。決まった一品を必ず作るのではなく、さまざまなレシピから、その食卓にふさわしい献立を考えるのです。

市場では、売り手と食材の扱い方を話し、料理のこつを教わることもあります。家に戻れば、一緒に調理をしながら言葉を交わし、子どもは大人から手順や技を学びます。ナプキンを折り、グラスを並べる準備も、その一部です。誰かを迎えるために手を動かすうちに、食事への楽しみが少しずつ増していきます。

日よけの下にトマトやにんじんなどの野菜が並ぶ市場
エクス・アン・プロヴァンスのリシュルム広場の市場。野菜の売り場を人々が行き交う。 写真: Tmv, Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

前菜からデザートまで、同じ順序をともに楽しむ

祝いの食卓には、料理を味わう順序があります。まずは食前酒のアペリティフから始まり、前菜、野菜を添えた魚料理や肉料理、チーズ、デザートという、少なくとも四つのコースが続きます。締めくくりは食後酒のディジェスティフです。これは登録された祝祭の食事の構成で、フランスでの毎日の食事が、いつもこの順序と品数で進むという意味ではありません。

料理とワインを合わせることも、この食事の大切な要素です。運ばれてきたものの香りを確かめ、口に含んで味わい、その味について話します。何を食べるかに加え、一緒に食べる人と感想を交わすことまでが、食卓の楽しみに含まれています。前菜からデザートへと進む間に、同じ料理を囲む人たちの会話も続いていきます。

料理と飲み物が並ぶ長いテーブルを囲んで座る人々と、グラスを持って立つ人
2015年の「Fête des voisins(隣人祭り)」で、料理や飲み物の並ぶテーブルを囲む人々。 写真: Christine und Hagen Graf from Fitou, France, Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

旅先では、食事の時間も予定に入れて

フランスを旅するときは、名物料理の名前を覚える楽しみに、もう一つ視点を加えてみてはいかがでしょうか。市場で食材について尋ねたり、レストランで料理に合うワインを聞いたり、同行者とひと皿の感想を話したり。祝いの席に招かれる機会がなくても、料理を選び、ともに味わうことに関心を寄せれば、旅先の食事をいっそう楽しめそうです。

訪れる場所を詰め込みたくなる旅の一日にも、食卓で過ごす時間を用意してみてください。デザートを待ちながら、その日に見た景色を話す。久しぶりに会った相手の近況に耳を傾ける。帰ってから思い出すのは、料理のおいしさとともに、向かい合って話したひとときかもしれません。フランスの美食を訪ねる旅では、誰と、何を祝って食べるのかにも、心を向けてみたくなります。

出典

Chef Authen

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