食文化 · スペイン料理

登らなくても、塔の仲間に。カタルーニャの広場で出会う「ピニャ」

人の肩に人が立ち、その上へ、さらに小さな体が登っていきます。スペイン・カタルーニャの祭りでつくられる人間の塔「カステイス」を見れば、つい目で頂上を追ってしまいそうです。けれど、旅先の広場では足元にも目を向けてみてください。塔を囲み、肩を寄せ、腕を伸ばす人たちがいます。この集まりが、塔の土台を支える「ピニャ」です。

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バルセロナのサン・ジャウマ広場で、腕を上げてピニャを準備する人たち

高いところへ登らない人も、なぜ塔の仲間になれるのでしょうか。ピニャには誰でも参加でき、地上で塔を支える役割を担えるからです。そして、その支え方も含めた技術は、団体の中で世代を越え、実践を通じて受け継がれています。

赤いシャツの人々が地上で支える、縦に高く伸びた人間の塔
2009年、バルセロナのクロット地区の祭り。地上の人々に支えられた人間の塔が伸びる。 写真: Castellers d'Esplugues, Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

地上で支える人にも、持ち場があります

ピニャの写真を眺めると、人々がぎゅっと集まっているように見えます。その内側では、それぞれの立つ位置と仕事が細かく決まっています。地面に立つ最下段と、その上の段を支え、塔の土台を安定させるのが大切な役割です。さらに、塔が崩れたときには、落下する人の衝撃を和らげる働きもあります。高く登る人の動きは、地上に残る人の働きとつながっています。

参加の門戸は開かれていても、どの位置にも自由に入れるわけではありません。ピニャの中心部などは、熟練した人たちが担います。初めて加わる人は経験者の説明を受け、どこに立ち、どう支えるかを教わります。自分の持ち場を知って力を合わせることが、塔をつくる一員になるための第一歩です。

ピニャで仲間の体を支える、幾重にも重なった手と腕
仲間の体を支える手と腕。2019年、バルセロナで撮影されたピニャの一場面です。写真: Felvalen(CC BY-SA 4.0)/元ページ。画像の改変なし。

仲間と練習する時間が、技術を伝えます

塔をつくる団体は「コリャ」と呼ばれ、シャツの色などで見分けられます。団体には子どもから年配の人までが集まり、練習を重ねます。誰がどの段に立つか、ピニャをどう組むかを考えるのは、団体の技術を担当する人たちです。祭りの広場に立つ前から、塔づくりは始まっています。

経験者の助言を聞き、自分の位置を確かめ、仲間と実際に体を動かします。技術を受け継ぐ場は、こうした練習の時間です。登る人と支える人が一緒に取り組むからこそ、新しく入った人も、役割を果たすための動きを身につけていけます。世代を越えて伝わるという言葉も、練習場で年齢の違う仲間が同じ塔をつくる姿を思えば、ぐっと身近に感じられます。

広場では、塔の足元まで眺めてみてください

カステイスを訪ねる旅では、塔が立ち上がる前の様子にも注目したいものです。団体ごとのシャツ、腰に巻く幅広の帯、持ち場へ集まる人々。上へ伸びていく塔だけを見ていたときには気づかなかった仕事が、少しずつ見えてきます。

参加してみたいときは、まず団体の人に相談し、経験者の説明と指示に従ってください。ピニャでは集中して支えるため、頭を上げて塔を眺めることは控えます。地上にいる人にも、見物とは違う時間が流れているのです。再び広場の外から塔を見上げるときには、頂上の子どもとともに、その下で支え続ける人たちの姿も心に残るでしょう。

出典

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