PASTA · 4/5

形状とソースの論理

なぜタリアテッレにラグーか——形状が持つ物理的な必然性

読了目安 6分 · 手打ちパスタ基礎シリーズ

形状はソース保持力の設計

パスタの形状は、何世代もの料理人が経験の中で磨いてきたものです。見た目だけでなく、それぞれのソースをどう絡め、口の中でどんな食感を生むかまで考えられています。形とソースの相性が合わないと、ソースがうまく麺に絡まず、ひと口ごとの味がぼやけてしまいます。

平麺・リボン系

タリアテッレ・パッパルデッレは表面積が広く、重めのラグーやクリームソースをよく受け止める。麺の重さがソースと均衡する。

細麺・丸断面系

スパゲットニ・リングイネはオイルベースや軽いトマトソースに向く。丸断面がソースを均一に薄くまとい、ひとつまみで完結した味になる。

タリアテッレにラグーの理由

ボローニャのラグー(ボロネーゼ)は、細かく煮込まれた肉と脂の旨みを含む、重みのあるソースです。幅広のタリアテッレは、その濃厚なソースを広い面でしっかり受け止めます。スパゲッティでは麺が細く、ソースが絡みにくいため、皿に残りやすくなります。だからボローニャでは、ラグーにはタリアテッレを合わせるのが理にかなっていると考えられています。 ボローニャ商工会議所は1972年、「タリアテッレの幅はパルマの黄金塔(97.27m)の1/12270」と公式に定めました。換算すると約8mmです。この幅は見た目のためだけではなく、ラグーを受け止める形として長年の経験から導かれたものです。

タリアテッレ
タリアテッレ。幅約8mmの平たいリボン状——この広い表面積がラグーを受け止める。

リングイネとペスカトーレの関係

魚介のソースは水分が多く、強い旨味を持ちます。リングイネの楕円断面はスパゲットニより表面積がわずかに広く、水分の多いソースが平たい面に引き寄せられて薄く広がり、よく絡みます。また、魚介の繊維はスパゲットニの丸断面にはあまり引っかかりませんが、リングイネのわずかな平面部分に乗ります。

リングイネの断面
「linguine」はイタリア語で「小さな舌」。その名の通り、断面は舌のように平たい楕円形。

手打ちパスタで最初に作るべき形状

タリアテッレから始めることを勧めます。理由は3つです。生地の幅が広いためカットが容易、わずかな厚さのばらつきが食感の豊かさになる(均一さが求められるタリオリーニと対照的)、そしてラグーという強い個性を持つソースが生地の味の差を引き立てます。 手打ちパスタを食べて「乾燥パスタと何が違うのか分からない」と感じる場合のほとんどは、生地の厚さ(2番以下で厚すぎる)か、ソースとの組み合わせが原因です。

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