BREAD · 1/6

粉と水——パン生地の設計図

粉の性質と加水率から、扱いやすさと焼き上がりを読み解く

読了目安 5分 · 自家製パン基礎シリーズ

パンの配合は、生地の振る舞いを予測するための設計図です。このシリーズでは、Focaccia Genovese(ジェノヴァ風フォカッチャ)を教材に、材料を混ぜるところから食卓へ出すまでを学びます。目指すのは、香ばしい表面と底、油の香り、内側の柔らかさが釣り合った一枚です。

粉の名前と、生地を支える力

小麦粉のタンパク質は、水と混ざってこねられることでグルテンの網目をつくります。その網目が発酵で生じたガスを支えます。今回使うのは標準レシピにあるパン用の強力粉です。最初は同じ粉で繰り返し焼き、吸水や伸び方を覚えると、次の一枚との比較ができます。

イタリアのTipo 0・00という表示と、日本の強力粉・薄力粉という区分は一対一には対応しません。Tipoの数字だけでパンへの適性は決まらないため、商品の用途、タンパク質量、表示があればW値(生地の強さの指標)も確認します。「00だから弱い粉」とは判断できません。

加水率は、粉に対する水の重さ

ベーカーズパーセントは、粉の重さを100%とする表し方です。この生地では水66%、インスタントドライイースト1%、生地用の塩2.4%。全材料を足して100%にする割合ではありません。油を計算に入れる場合も、体積のmlをそのまま使わず重さのgに揃えます。

水が少ない生地

同じ粉なら、まとまりやすく、押したときの抵抗が強くなりやすい。硬いことと、グルテンが十分に育っていることは別です。

水が多い生地

同じ粉なら、柔らかく広がりやすい。扱うには生地を支える構造が必要です。水を増やすだけで、望む気泡や食感になるわけではありません。

ボウルの中で粉気がなくなるまで混ぜた柔らかいフォカッチャ生地
混ぜ始めの生地は、べたついて表面も不均一。見た目だけで粉を足さず、こねた後の変化を見る。

塩と油にも、入れる場所がある

塩は味を整え、生地の性質や酵母の働きにも関わります。油は生地に入れる分、天板に塗る分、表面にかける分で役割が違います。標準レシピの油70mlは、生地30ml・天板20ml・仕上げ20mlに分けます。全量を最初に入れると、天板と表面の仕上げが変わってしまいます。

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