BREAD · 1/6
粉と水——パン生地の設計図
粉の性質と加水率から、扱いやすさと焼き上がりを読み解く
パンの配合は、生地の振る舞いを予測するための設計図です。このシリーズでは、Focaccia Genovese(ジェノヴァ風フォカッチャ)を教材に、材料を混ぜるところから食卓へ出すまでを学びます。目指すのは、香ばしい表面と底、油の香り、内側の柔らかさが釣り合った一枚です。
粉の名前と、生地を支える力
小麦粉のタンパク質は、水と混ざってこねられることでグルテンの網目をつくります。その網目が発酵で生じたガスを支えます。今回使うのは標準レシピにあるパン用の強力粉です。最初は同じ粉で繰り返し焼き、吸水や伸び方を覚えると、次の一枚との比較ができます。
イタリアのTipo 0・00という表示と、日本の強力粉・薄力粉という区分は一対一には対応しません。Tipoの数字だけでパンへの適性は決まらないため、商品の用途、タンパク質量、表示があればW値(生地の強さの指標)も確認します。「00だから弱い粉」とは判断できません。
加水率は、粉に対する水の重さ
ベーカーズパーセントは、粉の重さを100%とする表し方です。この生地では水66%、インスタントドライイースト1%、生地用の塩2.4%。全材料を足して100%にする割合ではありません。油を計算に入れる場合も、体積のmlをそのまま使わず重さのgに揃えます。
水が少ない生地
同じ粉なら、まとまりやすく、押したときの抵抗が強くなりやすい。硬いことと、グルテンが十分に育っていることは別です。
水が多い生地
同じ粉なら、柔らかく広がりやすい。扱うには生地を支える構造が必要です。水を増やすだけで、望む気泡や食感になるわけではありません。

塩と油にも、入れる場所がある
塩は味を整え、生地の性質や酵母の働きにも関わります。油は生地に入れる分、天板に塗る分、表面にかける分で役割が違います。標準レシピの油70mlは、生地30ml・天板20ml・仕上げ20mlに分けます。全量を最初に入れると、天板と表面の仕上げが変わってしまいます。
次の週末は、コース料理を家で。
すべての皿が、いちばんおいしい瞬間に。
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